必要に応じて周囲の助けを借りながら、現在のライフスタイルにちょうどよい働き方、環境の実現に向けて行動している「DUAL夫婦2.0世代」は、夫婦関係が良好だからこそ、夫婦で働き方についてしっかり話し合い、柔軟に転職をしている人が多いように見えます。でももちろん、軽やかに見える2.0世代にも、葛藤はあるのです。
産育休から復帰した後に、バリバリと働いてリーダーや管理職になっていくすご腕ママ(パパ)ばかりではない。あえて「キャリアダウン」して次の道を模索し、新しい目標を見つけて頑張っているママ(パパ)だってたくさんいる。そんな2.0世代のリアルな転職事情を聞いていきます。

【今回の2.0世代転職ママ】 佐藤郁江さん

年齢:35歳
夫 :40歳
子どもの年齢:長男4歳、長女1歳
転職前業種・職種:日用品・生活用品業界の広報を経てマーケティング部(正社員)
転職のためにしたこと:スタートアップ企業のリサーチ
転職後業種・職種:コミュニケーションデザイングループ 広報
住まい:東京都
実家の協力:東京出身なので両親の協力は得られる

●私が仕事・働き方を変えた理由●

転職決意のきっかけ:育休中にママ友が転職、チャレンジを続け研究員になると聞き、「自分も広報として挑戦したい」と思ったこと
働き方を変えた理由:大企業で働くのではなく、スタートアップに飛び込んで力を試したいと考えたこと
5年後の目標:会社そのものの認知度を上げ、いずれはIPOを経験したい

会社に不満はなかった。ただ挑戦したくなった

 転職前は日用品・生活用品の大手企業に勤めていました。大学卒業後に同社に就職し、営業、社長秘書を経て広報を6年間務めました。社員数はグループ会社合わせて1000人近い大企業ながら、広報(PR)担当は一人。広報としての仕事をすべて見ることができていたと思います。

 会社は女性が働きやすい環境で、育児休暇も3年間取得可能でしたし、制度もしっかりしていました。正直に言えば、不満はありませんでした

 そんな私が転職を真剣に考えるようになったのは、ママ友に刺激を受けたことがきっかけです。

 あるママ友がサービス業大手に転職し、さらに入社後にやりたいことを見つけ、グループ会社への転籍試験を受けて、研究職になると聞いたんです。その瞬間、「自分はこのままでいいのだろうか」と考えるようになりました。

 私は2016年、第一子が2歳になり、第二子を妊娠する直前に、6年勤めた広報からマーケティングの部署に異動になりました。自分以前の広報の担当者もやはり、妊娠・出産のタイミングで他部署へ異動していたのですが、もしかしたら広報が一人しかいないが故に、「極力長い期間、対応できる人材がいい」という事情もあったのかもしれません。マーケティングの仕事は楽しかったのですが、「自分は何の仕事がしたいのか」を考えるようになりました。

 ママ友の話を聞いたのは、そんなタイミングだったんです。

 結果、「もっと広報の仕事をしたい」と思い至り、2018年のお盆時にリサーチを開始し、「挑戦しよう」と心に決めました。転職サイトに登録したこと自体、社会人になってから初めてでした。