必要に応じて周囲の助けを借りながら、現在のライフスタイルにちょうどよい働き方、環境の実現に向けて行動している「DUAL夫婦2.0世代」は、夫婦関係が良好だからこそ、夫婦で働き方についてしっかり話し合い、柔軟に転職をしている人が多いように見えます。でももちろん、軽やかに見える2.0世代にも、葛藤はあるのです。
 産育休から復帰した後に、バリバリと働いてリーダーや管理職になっていくすご腕ママ(パパ)ばかりではない。あえて「キャリアダウン」して次の道を模索し、新しい目標を見つけて頑張っているママ(パパ)だってたくさんいる。そんな2.0世代のリアルな転職事情を聞いていきます。

【今回の2.0世代転職ママ】 中村真弓さん

年齢:38歳
夫 :39歳
子どもの年齢:長女小学4年、次女小学1年
転職前業種・職種:大手ICT業界・営業(正社員)
転職のために通った学校:広報・PR養成校
転職後業種・職種:広報・PR/広報・PR養成校のコミュニケーションマネージャーを経て、金融ベンチャーの広報に転職。その後フリーランスのPRとして独立
住まい:神奈川県
実家の協力:遠方のため通常はほぼなし。どうしてもという時はヘルプをお願いしたり、義母が送ってくれる冷凍手作り惣菜に助けられている

●私が仕事・働き方を変えた理由●

転職決意のきっかけ:第2子の産休直前に同僚にかけられた「あなたの仕事は誰がするの?」という言葉
働き方を変えた理由:完全ワンオペ状態の仕事と子育ての両立に苦悩。キャリアを積みたいという思い
5年後の目標:プロジェクトベースでフリーランスでチームを組み、広報組織の立ち上げ、認知を上げたい企業やサービスのPR活動、人材育成をサポートすること

コミュニケーションを生かした仕事をしたいと営業職に

 出身地の愛知県・名古屋で大学まで過ごしました。中学から大学まで通った私立一貫校は、地元志向が強い同級生が多かったのですが、私自身は米・シアトルに留学したことが刺激となり、上京して就職しました。

 大学卒業後に働き始めたのは大手ICT企業。法人営業として約3年働きました。学生時代から人と関わるのが好きで、コミュニケーション能力を高める仕事がしたかったので、まずは営業職だと思ったのがきっかけです。

 入社した会社の営業はかなりの体育会系でしたが、今思えばコミュニケーションの基本が身に付いたと感じています。自分たちの売りたいもののことだけを話していても通用しないこと。どれだけ相手のニーズをつかみ契約につなげられるかなど、営業の現場でコミュニケーションの重要性を体感しました。その後、広報・PRという、サービスや企業の魅力を伝える仕事があることを知り、出会ったのが、PR・広報の学校でした。

大手から社員数20人程度の会社に転職。一から十まで任される喜び

 働きながら夜間に学べるその学校で、広報の師ともいえる学長に出会い、ご縁をいただいて転職しました。母体となるPR会社と合わせると社員数25人ほどの会社で、小規模な組織なら一から十まで見ることができること、厳しくも業界の第一人者として知られる学長の下で学ぶことは、自分にとって大きな経験になると思ったからです。

 広報として経験を積む中で学長の著書の出版に関わったり、学長に密着したテレビ番組への露出が実現するなど、大きな仕事に関わることができました。学長からは広報のいろはだけでなく、「情熱や思いがないと伝わらない」ということ、コミュニケーション能力、人間力をとことん学びました。