子どもと一緒に過ごす時間は削れない…あえて一時的にキャリアダウン

 仕事と子育て、どちらも大切にしたいのなら、自分のことをもっとしっかり理解しないとダメだと思いました。自分のことはちゃんと知ろう。何をすると幸せで、何をしている時が楽しいのか、優先順位は何かを考えよう。専業主婦も試し、3カ月間、とことんしっかり自分と向き合ってみた結果、子どもと一緒に過ごす時間は削れないと再認識しました。

 結果、フリーランスとして働き方を自由に選べるようになろうと考えました。もちろん収入面の不安はありましたが、たとえ一時的なキャリアダウンになったとしても、子どもとの時間を得たいと思いました。

 この時期に3カ月ほど仕事を離れたことは夫婦関係にとっても良かったと思っています。まず、夫への感謝の気持ちが生まれました。以前は「私だって稼いでいるんだから!」と言い合っていましたが、今、私が生活できているのは夫のおかげだと思えると、自然と感謝の言葉を口にするように変わりました。また、夫は私がフリーランスになることに当初は反対。「向いていないと思う」「辞めてどうするの?」と言われたりもしましたが、私の心が落ち着くにつれてなのか、夫自身も私を応援する姿勢に変化してくれました。

 夫は私より先に個人事業主として独立していたので、自分の仕事や生活スタイルが落ち着いてきていたことも大きいと思います。私がフリーランス1年目で悩んでいた際には、「まだ結論を出すには早いと思うよ」「収入のことは気にしなくていいから頑張ってみたら」とアドバイスをしてくれて、昔では考えられないほど夫婦の絆も生まれるようになっていました。

どこに就職するかよりもどんな働き方をするか

 私が人生で重視しているのは「成長」です。自分のことも、子どものことも、お仕事で関わる企業さんのことも「成長」という視点で見ているのですが、そうした意味で、仕事は自分を成長させてくれる大きな要素になります。

 フリーランスの広報として、さまざまな会社からお声掛けいただくことが増えましたが、今も模索中の部分はあります。でも、自分の軸が見えたことで、「子育てと仕事の両立をしなくては」と意気込むことがなくなりました。結局どういう働き方をしたいのかだと思います。仕事は精神的・金銭的に自分が幸せになるためにするものですので、どこに就職するかよりもどんな働き方をするかが大切なのかなと思っています。

 最近、夫の家事や育児に対する姿勢もどんどん変化していて、夫自身の「成長」を感じます。子どもたちもパパが食事を作ってくれることを喜んでいますし、自分の想いや意見を素直に話すようになりました。

 これからも「成長」をキーワードに、子どものやりたいことも伸ばしてあげたいし、夫のチャレンジも背中を押してあげたい。家族がお互い、一番の味方になれるようになれればと思っています。

「3カ月間、とことんしっかり自分と向き合ってみた結果、子どもと一緒に過ごす時間は削れないと再認識した」と中村さん
「3カ月間、とことんしっかり自分と向き合ってみた結果、子どもと一緒に過ごす時間は削れないと再認識した」と中村さん

(取材・文/日経DUAL編集部 山田真弓)