仕組みをゼロから作り上げる経験も

 第2子の産休・育休中に、「復帰するならもう少し仕事の量を減らさなければ、子どもたちと向き合えない」という気持ちを強くしたことも、転職を後押ししました。

 その頃にはスマートフォンとパソコンがあればどこでも仕事ができる時代になっていましたから、フリーランスになる選択肢もないわけではなかったと思います。でも、当時は夫が個人事業主で仕事をしているという働き方でしたので、私自身は会社員でいなければという思いが強かったんです。

 結果、週3~4日の時短勤務で働くことができ、これまで縁のなかった金融業界でしたが、広報を立ち上げるタイミングで入社したことで、新たな知識を得ながら、広報の仕組みをゼロから作り上げるという経験もできました。

ワンオペで走り続け、自分を見失いかけた

 2年が経ち、ありがたいことに正社員にならないかと声をかけていただいたのですが、その時、長女は6歳、次女は3歳とまだ手のかかる育児真っ盛り……。これ以上は仕事も責任も担えないと思っていました。その後も在宅勤務を取り入れるなど、会社としてできるだけの恵まれた環境を用意してもらったのですが、組織が大きくなる中で自分だけ人事制度と合わないのではと感じていたり。今でこそ、働き方改革でリモートワークが当たり前の会社も増えましたが、当時はまだ珍しかった。仕事もどんどん忙しくなり、通勤で疲れ果てて家でも仕事をしなければ追い付かず、どんどんストレスがたまっていきました。

 いくら仕事が面白くても、時間的に回しきれない、家庭もうまくいかないのでは意味がない。ワンオペで2008年から走り続けてきたので、なぜ働きたいのか、何を大切にしたいのか、分からなくなってきてしまっていた。自分を見失いかけていたのだと思います

 そこで2016年の夏、次を決めないまま、意を決して退職しました。

(イメージ写真:鈴木愛子)
(イメージ写真:鈴木愛子)