日経DUALと日本経済新聞社は、「自治体の子育て支援に関する調査」を共同で実施しました。その結果をもとに「子育てしながら働きやすい都市」をDUAL・新聞独自の指標でランキングしました。

 2017年度の東京を除く全国編1位に輝いたのは、千葉県松戸市。その支援策には、「子どもは社会で育てていくもの」という理念が貫かれています。本郷谷健次市長に子育て支援の基本的な考え方や待機児童対策について聞いた前編に続き、後編では保育所や学童といった「受け皿」の確保に加え、子どもに関わる施設全般の「質」を重視する取り組みや、子育て世帯の流入を促す施策などについて聞きました。

【共働き子育てしやすい街ランキング特集】
第1回 共働き子育てしやすい街2017 総合ランキング
第2回 自治体調査 待機児童ゼロ、達成可能は5割どまり
第3回 共働き子育てしやすい街2017 上位50自治体は
第4回 共働き子育てしやすい街 全国編詳細リポート
第5回 豊島区長 “区が消えてしまう”ショックからの復活
第6回 豊島区長 豊島区の子どもたちは、私たちが守る
第7回 松戸市長 惜しみない子育て支援は将来への投資
第8回 松戸市長 子どもは社会全体で育てる責務がある ←今回はココ!
関連 「共働き子育てしやすい企業&街2017」表彰式
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公立保育所でもネーティブ講師の英語体験を

日経DUAL編集部(以下、――) 待機児童対策以外の子育て支援についてもお伺いします。幼児教育振興事業として昨年から月1回、公立保育所の5歳児クラスでネーティブの講師による英語体験を始めたそうですね。狙いは何でしょうか?

本郷谷健次市長(以下、敬称略) かつて、小学校入学以前の子どもの教育は家庭で母親が見るというのが日本の一般的なスタイルでした。女性が働くようになり、大事な成長過程にある子どもたちのケアを社会が代わりに担うということになれば、公的な幼児教育の重要性と責任は従来以上に増します。2年前から「幼児教育担当室」という専門部署を作り、幼児教育の充実を図っています。

 英語教育については、私立であれば早くから取り入れている幼稚園もあったりするので、公立でもできることはやろうということで英語体験を始めました。中身はネーティブ講師との「英語あそび」ですが、幼児はそれがいいと考えています。また、今は核家族の家庭が増えていますので、親も子育てについて教えてもらえるような年長者が身近にいません。そこで、東北大の川島隆太教授が監修した、家庭での幼児教育を支援するパンフレットを作成し、市の施設で配布したり、ホームページでダウンロードできるようにしたりしています。

<次のページからの内容>
●市内の全小学校の校内などに放課後児童クラブを設置
●子育ての専門家を配置した「親子すこやかセンター」
●365日、23時まで診察を受けられる小児医療体制
●親と松戸市内で同居する子育て世帯には最大100万円の補助