日経DUALは日本経済新聞と共同で、主要162自治体に子育て支援制度について調査し、148自治体から回答を得ました。調査では、自治体が考えている保育所増設への課題についてや、保育ニーズや待機児童、学童の整備状況についてなどを聞きました。調査全体の結果を紹介します。

【調査について】
・調査名:「自治体の子育て支援制度に関する調査」
・調査対象:首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の主要市区と、中京圏(愛知・岐阜・三重)、関西圏(大阪・兵庫・京都)の一部市区、全国の政令指定都市、道府県庁所在地の162自治体
・実施期間:2017年9月~10月
・回答数:148自治体

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第3回 共働き子育てしやすい街2017 上位50自治体は
第4回 共働き子育てしやすい街 全国編詳細リポート
第5回 豊島区長 “区が消えてしまう”ショックからの復活
第6回 豊島区長 豊島区の子どもたちは、私たちが守る
第7回 松戸市長 惜しみない子育て支援は将来への投資
第8回 松戸市長 子どもは社会全体で育てる責務がある
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 子どもの数は減っていく一方、女性の就業率は今後も高まりそうだ。日本総合研究所が2017年2月に発表した調査によると、保育所ニーズは少なくとも2020年ごろまで増えるとの予想だ。それによると、2015年は保育所(0~5歳)・幼稚園(3~5歳)に通う未就学児のうち、保育所に通っている子どもの割合は6割だが、これが2040年には最も多いケース(出生率が高く・妻の就業率も高い場合)で9割になる見込み。保育需要はどのように変化していくのだろうか。

 今後の保育需要の「ピーク」を聞いた質問には、「2019年度」という回答が24.3%で一番多かった。昨年調査でも同様の質問をしたが、そのときは「2017年度」という回答が最多だったため、後ずれしたことになる。5年以上先の「2022年度以降」と回答した自治体も11.5%あった。2032年度と回答した東京都豊島区は「2030~35年ころに、区では0~14歳の人口が減るとみている。女性の就業率が今後も高くなるであろうことを考えると、子どもの数が減る2032年度前後までは、保育需要が減ることはないと考えている」と理由を述べている。

 一方、2017年度も含めて既にピークに達したと回答した自治体も11.6%あった。ただ「人口推計、待機児童数から2016年度としているが、今後の住宅事情(大規模マンション、都営住宅建て替え等)によっては、再び需要が上がる可能性があると考えている」(東京都多摩市)など、今後も状況によっては再び増加に転じるという見方もある。

 国が目標とする「2020年度末の待機児童ゼロ」の目標を達成できそうか尋ねた質問では、「十分達成可能」「ほぼ達成可能」は55.4%だった。「やや困難」「かなり困難」「達成は難しい」を合わせると18.2%で、待機児童問題が完全に解消されるのは、まだ先になりそうだ。

 国の待機児童の緊急会議では、保育士の余裕配置に向け、0歳児より1~2歳児の受け入れ枠を増やすべきだとの議論があった。育児休業が2年間取れるようになることなども受け、自治体が0~1歳児の保育枠を変更するかどうか尋ねた。「0歳児の枠を減らす考えはない」が最多の45.3%。「0歳児の枠の抑制を検討している」は4.1%だったが、「0歳児より1歳児の枠拡大を優先してほしいというニーズがあれば対応する」も22.3%あった。