学童「小3までの希望者全員は入れない」53.4%

 学童保育についても、昨年と同様、複数の質問をした。

 受け入れ学年(施設によって異なる場合は最も低い学年を記入してもらった)では「小6まで」と回答した自治体が62.2%あった一方、「小3まで」が26.4%、「小4まで」が8.8%、「小5まで」が0.7%だった。

 親の就労など条件を満たした場合、小3までの希望者全員が、自治体が運営もしくは運営委託している学童保育施設に入れますか、という問いでは、「はい」という回答が43.2%、「いいえ」という回答が53.4%だった。学童に入りたくても入れない小3までの児童が、自治体によっては340人いることも分かった。

 自治体が運営もしくは運営委託している学童保育の最長預かり時間では(施設によって異なる場合は、最も短い施設で回答)、「18時31分~19時」という回答が49.3%で最多。「17時31分~18時」が20.3%、「18時1分~18時30分」が17.6%だった。

 「小1の壁」を防ぐためには、まずは就労などの条件を満たした家庭の子ども全員が、安全・安心な学童保育に入れることが重要だ。それに加え、保育所に比べて預かり時間が短いと、親は保育所に通っている時期よりも仕事を早く切り上げなくてはならず、困ることになる。そのあたりが今後の課題となりそうだ。

 学童保育がおやつ以外の食事を提供している例はあるか、という質問には、「夕食の提供」が4.1%、「夏休みなど長期休暇中の昼食の提供」が29.7%、「夏休みなど長期休暇中の昼食の外注受け入れ」が23%だった。

保育の質担保へ「抜き打ちの見回り実施」は18.2%

 今年の調査では新たに、保育の質を担保するための取り組みについても話を聞いた。「巡回指導を行っている」と回答した自治体が68.9%、「職員を集めた研修を定期的に実施している」が56.8%、「抜き打ちの見回りを実施している」が18.2%、「ニーズに応じて園長経験者などが一定期間、現場に入っている」が8.8%だった。

 待機児童解消へ幼稚園活用の取り組みがあるか、という質問(複数回答)も新たに加えた。それによると、「幼歩一体化、こども園への転換」と回答した自治体が55.4%、「預かり保育の時間延長」が24.3%、「2歳児保育の実施」が17.6%だった。「保育所は足りない0~2歳児を中心に整備し、3歳以上はすでにある幼稚園の敷地を、保育時間の延長などで最大限活用する」(松戸市)など、用地不足のなかで、幼稚園の活用を進める自治体は今後も増えそうだ。

(文/日経DUAL編集部)