日本人が組織に帰属したがるのは、幼少期の安全基地の欠如に起因

 大学生と話していると、最近の学生は大学を就職予備校ととらえているのだなと思わされることが多くなりました。というのも、大半の学生は、企業なり、組織なりに就職したがっているからです。

 えっ、そんなのあたりまえでしょうって? 確かに親としてはわが子が難関大学を突破し、一流企業に就職してくれたら、ひと安心でしょう。読者のお父さんお母さん自身もそのようにして歩んできた人が多いかもしれませんね。

 僕はいい大学やいい会社に入って安心したいと思うことが、悪いとは思いません。でも、考えてみてください。世の中が会社や組織に入って安心という人だけで構成されたら、日本の社会はどうなると思いますか? 残念ながら、発展は望めません。

 大学を出たらすぐに起業したい。もっと新しいことに挑戦したい。あるいは、どこにも所属せずにフリーランスで道を切り開いていく。そういった若い力が出てこないと、社会は発展していかないのです

 どこかに帰属していたいという意識が高いのは学生だけでなく、社会人もそうですね。どこかに所属していないと不安でたまらないという根っこは、どこにあるのでしょう。日本の子どもはチャレンジしないとか、自己肯定感が低いなどといわれますが、それらのすべては幼少期の安全基地の欠如に起因するのではないか。僕はそう思っています。ですから、お母さん、お父さん、どうか今日から、泣いている子どもを置き去りにするのはやめてくださいね。

やりたいことを見つけ、チャレンジできる子を育てよう

 もうひとつ、親御さんにして欲しいことがあります。それが、前回お話しした「子どもがやりたいことを見つけるお手伝い」です。

 人工知能の発達によって、職業のヒエラルキーが変わるだろうと僕は予想しています。勉強ができる子だけに幸せな将来が待っているという方程式が成り立つ時代はもうすぐ終わります。

 いい子=学歴がある、いい子=テストでいい点がとれることは、この先、あまり意味がなくなっていくでしょう。なぜなら、すでにある道を黙って歩くいい子しかいなくなったら、日本は発展性を失うからです。

 これからはチャレンジ性が求められる時代です。いくら学歴があっても、自分からどんどんチャンレンジできなければ、社会で活躍することができない時代がやってくる。ですから親御さんは、ぜひ子どもの安全基地になり、チャレンジできる子を育てて欲しいのです。