お出かけしたりおうちで遊んだり、親子で楽しむ時間を子どもの学びにつなげるために、親は何をすればいいでしょうか。DUAL世代の皆さんの工夫を、シリーズで紹介していきます。今回、話を聞いたのは、東京で長女10歳(小4)と、長男7歳(小1)を育てている料理研究家の中村陽子さん。子どもの興味関心の芽を見逃さず、工夫を凝らすことで、都会に住みながら生き物との触れ合いをはじめとする、さまざまな「体験遊び」を実現しています。子どもたちの学びを深めるために、中村さんはどこに着眼し、どんなサポートをしているのでしょうか。前後編で紹介します。

<中村陽子さんの「遊び・学び」サポート>
【前編】チョウの羽化、ヘビカフェ…NO言わず子の興味広げる ←今回はココ
【後編】体験重視 枝豆は枝付きを選ぶ 食材で「自然」に触れる

実践例:中村陽子さんの場合(小4娘と小1息子を育て中のママ)

 「子どもの『やりたい』はまず受け止める。『そんなの無理』とすぐ言わない」。料理研究家・中村陽子さんの子育てにおけるモットーは、自身の幼少期の小さな後悔から来ているそう。

 「子ども時代の自分は何事にも消極的でした。『あのときあれをやっておけばよかった』と大人になって振り返ることが多いです。その理由を突き詰めると『失敗したくない』という気持ちが強かったように思います。だから子どもたちには『失敗しても、何回でもやり直せるから大丈夫』と伝え、子どもが興味・関心を持ったことは何でも、できるだけ体験させてあげようと心がけてきました」

 中村さんの二人の子どもは、自分の興味のあることを探究し、失敗しても再び挑戦する姿勢が身に付きつつあると言います。「特に小4の長女は、何かを『見ているだけ』ということは嫌いで、自分で実物に触ったり、育てたり、調べたり、観察したりすることが大好きになりました。幼いころから何でも体験させようと試みてきたことがよかったみたいです」

 料理研究家という職業柄、自宅で試作をすることなども多いという中村さん。「失敗しても、もう一度チャレンジすること」の大切さは、仕事を通じ、自身の背中でも伝えてきました。また、忙しい毎日の中でも、台所にある食材といった「身近な素材」を使ったり、リビングに置いた大きなホワイトボードを「遊び兼学び」に使用したりすることで、親子でとことん日常を楽しみ、子どもたちの興味をどんどん広げています。

 中村さんの遊び・学びサポートのポイントについて、次のページから具体的にお伝えします。都会に住みながら、自然体験を上手に取り入れる工夫は必読です。