お出掛けしたり、おうちで遊んだりと親子で楽しむ時間を子どもの学びにつなげるためには、親は子どもとどのように関わったらいいのでしょうか。DUAL世代の皆さんの工夫を紹介している本シリーズ。今回ご登場いただくのは、東京都で7歳(小1)の女の子と4歳(年中)の男の子を育てている会社員パパSさん(44歳)。寝かしつけ時の読み聞かせを担当するSさんは、1冊の本を、旅や歴史、ジェンダー、多様性の理解といった学びに上手につなげています。子どもが本好きになり、自身の趣味も子育てに生かせているというSさんの工夫を前・後編で紹介します。

<Sさんの「遊び・学び」サポート>
【前編】家族旅行で昔話の舞台訪問、読み聞かせ担当パパの工夫
【後編】自宅に図書室、読み聞かせで多様性伝える…パパの作戦 ←今回はココ

男尊女卑の要素のある絵本は、こうやって活用

 東京都で7歳(小1)の女の子と4歳(年中)の男の子を育てている会社員パパSさん。寝かしつけ時の読み聞かせ担当になったことで、昔話の舞台とされる場所を家族で訪れるなど、本を遊びや学びに積極的に活用してきました(詳しくは前編参照)。

 絵本の読み聞かせを始めて、もう一つ大きな気づきがあったとSさんは言います。「『自分の意見を持たずにただ王子様を待つ』『父親が娘の結婚相手を決める』などの前近代的な価値観が残っている絵本がいまだにたくさんあります。自分が小さいころに読んだときはあまり疑問を持たなかったのですが、女の子の父親になった今読むと、がく然としますよね。

 娘には、強くてかっこいい女性になってほしいと思っています。娘が自分の意志で『王子様を待つ人になりたい』と考えるのなら仕方がないけれども、将来の可能性を狭めるような考え方はできるだけ植え付けず、取り除いてあげたいと考えました」

 最初は、女性が自分の意志を表明できない『シンデレラ』など、昔の価値観が残る絵本は読み聞かせしないようにしていたというSさん。しかし、避けているのもよくないと感じ、より「ベターな読み聞かせ」にするために、作戦を考えたと言います。

 また、Sさんは、地域や文化的に偏りのある絵本を無意識に読み聞かせることが子どもに与える影響も懸念し、本の選び方も工夫しています。そんなSさんの「遊び&学びサポート」のアイデアを次のページから具体的に紹介します。

Sさんが「ベターな読み聞かせ」のために編み出した工夫とは?
Sさんが「ベターな読み聞かせ」のために編み出した工夫とは?