今の子が楽しめるように流行のネタがいっぱい登場

―― 原先生はゾロリを30年も書き続けていらっしゃいますが、時代に合わせたストーリーを書くために、常にアンテナを張り巡らせているのでしょうか?

 私はゴッホのように亡くなってから評価を受けるより、今の子のために書きたいと思っているので、5年後、10年後には古くなってしまうかもしれないけど、今のネタをガンガン入れようと思って書き始めました。友達に見せるような感じで、「どうだ、面白いだろう」と今の子どもたちに言えるものを書こうと。こんなに長く書き続けるとは思っていなかったんですけどね(笑)。例えばある巻には「ふぶきその子」という雪女のキャラクターが出てくるのですが、そのときは鈴木その子さんの全盛期だったんです。こんな風に、各時代の流行からのパロディーをいっぱい書いてきました。でも、今の子は全然知らないネタですよね。ただ、雪女だから「ふぶきその子」と言っても納得してもらえるんです。

―― 親世代は思い出して笑えます。ほかにも印象的なパロディーや細かい設定がたくさんありますよね。

 流行語や時事ネタも出てくるので、刊行当時を振り返って楽しめると言ってくださる大人の方も多いです。

―― 本当に時代を反映させていらっしゃいますよね。一方で、ゾロリを書く上でずっと変えていないことはありますか?

 基本的に、誰も傷つけないこと。それは守り続けています。実はテレビアニメ化する際に、ゾロリに何か武器を持たせてほしいと言われたんです。グッズ化して売れますからね。でも戦わせたくなかったので、それだったらオナラとオヤジギャグを武器にしようと。オナラの勢いで飛んでいったり、寒いオヤジギャグで凍らせたりね。大人からは下品だとか、くだらないとか言われちゃいますが、危険な武器を使うよりは平和な戦い方でしょう。それに小学校低学年くらいの子どもは、体の不思議としてオナラやウンチに興味を持ちますよね。大人になったら誰も笑わなくなります。でも、子どものころはその面白さを通らせてあげないと。私は子どもが面白いと思える話を書きたいんです