睡眠不足は第二次性徴を早めてしまう

 睡眠不足が及ぼす影響は他にもあります。それは子どもたちの第二次性徴を早めてしまうリスクが高まることです。

 睡眠ホルモンの一種であるメラトニンは、夕方になるとたっぷりと出て、眠気を誘うホルモンです。子どもはメラトニンがどっさり出ます。脳のしくみがそうなっているため子どもは夜早く眠くなり、大人よりたっぷり眠ります。

 メラトニンには眠りを誘うほか、もうひとつ重要な役割があります。それは第二次性徴の発来を抑えることです。8歳や9歳でお乳が大きくなったり、陰毛が生えたりすることがないのは、メラトニンの働きによってストップしているためなのです。

 そして、成長するにつれ、就寝時間が少しずつ遅くなり、メラトニンの分泌量も少しずつ減っていきます。するとお乳が膨らんできたり、陰毛が生えてきたりするなどの第二次性徴が始まり、女の子の場合はあるとき初潮がみられます。男子だと寝ている間に射精が起こる夢精が見られます。これが中学生あたりになります。

 怖いのは、小さいときから夜遅くまで起きていたり、睡眠不足を続けていたり、メラトニンの分泌量を減らすような生活を続けていると、第二次性徴を抑える働きが利かなくなり、初潮が早く来てしまうことです。

 メラトニンは目から光が入ると分泌が抑えられるので、テレビやパソコン、スマートフォン、ゲームなどの光刺激は大敵です。夜型生活はただでさえメラトニンの分泌を減らすのに、大人と一緒に夜遅くまでテレビを見たり、ゲームで遊んだりしているのは、もってのほかなのです。

塾や習い事をさせるなら、週末の時間を使う

 近年は早発月経が増えており、なかには8歳で月経が始まってしまう子もいます。女子は月経が始まると成長が止まるので、最終身長が低くなる可能性があります。そして、排卵が早く始まると、様々な弊害を引き起こします。

 女性が生涯に排卵する卵の数は決まっているので、初潮が早ければ早いほど、閉経が早まります。更年期障害もひどくなりがちです。月経困難症のリスクが高まり、生理のたびにつらい思いをするかもしれません。

 そして何よりも8歳で月経が来てしまったら、その子自身がたいへんです。性教育が始まるのは通常10歳くらいからです。第二次性徴の発来は、13歳前後です。その前に月経が始まれば、子どもの心身に大きな負担がかかってしまうでしょう。

 睡眠不足が子どもに及ぼす影響は多種多様で多大です。

 昼間は元気に遊びまわり、夜になるとバタンと寝てしまうような子は、大人から見ると本当に大丈夫なの?と思うかもしれません。でも、子どもは子どもらしく、のほほんと楽しく笑顔でいることがいちばんなのです。

 勉強や習い事をさせるなとは言いません。塾に行かせたり、習い事をさせたりするなら、週末の時間を使うなどして、子どもたちの睡眠時間に影響がないよう工夫してあげてください。

 子どもの10年後、20年後を考えたら、睡眠時間を削って勉強させるよりも、夜9時に寝て、朝6時に起きる生活を守ることのほうが大事です。どうか、今日すぐに、家族そろって早寝、早起き生活に切り替えてください。

(取材、文/小山まゆみ、イメージカット/iStock)