うまくいっているように見えても、思春期に土台が崩れることも

 小学生が夜の10時、11時まで起きている毎日を続けると、脳の土台部分はどんどんやせ細っていきます。ところが、アンバランスな構造になっても、低学年のころには影響は表れません。おりこうさん脳を鍛えていると、難しい計算がスイスイできたり、外国語を上手にしゃべったりして、見た目はとてもよく育っているように感じます。

 しかし、思春期くらいになると、ちょっとしたきっかけでやせ細った土台部分がぐらぐら揺れ、ある日柱がポキンと折れてしまう危険が出てきます

 柱が折れて、土台が崩れてしまうとどうなるか。

 人間としての機能に不具合が起こり、様々なトラブルが発生します。例えば、万引きをする、人の悪口ばかり言う、人に暴力を振るうなどです。子どもが加害者となり、新聞をにぎわす事件が増えていますが、彼らの脳の1階部分は痩せ細っていたのではないかと私は考えています。

 子ども時代にしっかりと睡眠をとり、どっしりとした土台部分を築きながら、心身の成長を積み上げていれば、少々意に染まないことがあっても、いきなり刃物で人を刺したりしません。刺してはいけないことだと分かっているからです。

危うい脳を育ててはいけない

 しかし、脳の成長期に睡眠が足りず、土台部分がもろい脳に育ってしまったら、その子はどんな大人になるでしょうか。全員がそうなるとは言いませんが、最近はちょっとしたことがきっかけでキレたり、人に暴力を振るったり、ネットで悪口を拡散したりするような人が増えているように思います。おりこうさん脳を優先させるがために、土台部分が危うい脳を育てるようなことはやってはいけないことだと思います。子どものうちは、外国語をしゃべれなくても、算数の応用問題が解けなくてもいいと思います。暗くなったら眠くなってパタンと寝てしまう。子どもの脳の成長にとってはそのほうがはるかに健全です。土台がしっかりとしていれば、親が教え込まなくても、語学も数学も自分から学ぶ意欲がある子に育ちます

 脳の土台部分が大切というのは、大人になっても変わりません。ろくに寝ない生活を続けていたら、土台部分は痩せ細っていきます。すると、何かをきっかけに、不具合を起こして暴走を始めたらブレーキが効かなくなります。例えば、同僚に悪口を言われたとしましょう。すると、どんどん妄想が広がって、無性に腹が立ってくる。常にいら立たしく感じるようになり、しまいには何をしでかすか分からないということです。

 人としての枠から外れる思いもかけない行動や、理不尽な行動をする子どもは、脳の土台部分がもろく、人間として大事な部分がうまく育っていません。かつてのそういった子どもたちが今大人になり、ポキンと折れそうになりながらも、必死にがんばっている例もあるでしょう。それは、このコラムを読んでくれているママやパパかもしれません。何度も繰り返して言います。まずは、ママやパパが睡眠不足を解消してください。