少子化が子どもの自尊心を低くするというメカニズム

 少子化により、量的に少なくなった子どもに対する、親や周囲からの期待圧力が強まっていることにも要注意。図3は、1950年と2050年の人口の年齢構成を対比したものです。3つの年齢グループの人口量を正方形の面積で表現しています。

 100年間の変化はあまりにも大きい。1950年では「子ども1:大人2」でしたが、2050年では「子ども1:大人9」の社会になると見込まれます。

 大人が子どもに文句を言う頻度が増えてくる(子ども1人に対し、大人9人の口から!)。真面目な子ほどそれに翻弄され、自我を傷つけてしまう。これは、大人が子どもを圧し潰していることにほかなりません。学業不振と非行の関連が強まっているのも頷けます。

「自分はどうだ?」と振り返り、親が学ぶ姿勢を見せよう

 フランスの思想家のルソーが、子どもの発達に先んじた余計な教育を施すべきではない、放っておくのがよいという「消極教育論」を唱えたことは有名ですが、この思想は含みを持っているように思えます。(無茶な)早期受験が進行している状況を見ると、なおのことです。

 「子どもは、放っておけば育つ」。こういう構えも持ちたいもの。勉強すべきなのは子どもだけではありません。われわれ大人もそうです。社会の変化が速く、子ども期に学校で学んだ内容など陳腐化しているのですから。いみじくも今は、生涯学習の時代。「子どもが」「子どもが」と言う前に、自分のことをしましょう、そういう無言の背中が、子どもにとっての範となるのです。

 著名ブロガーのちきりんさんが、「教育に関心があるなどと言い出したら、その人の成長は終わりだということ」とおっしゃっていますが、全くその通りだと思います。これからのオトナが肝に銘じるべき名言かと。

 わが国の非行統計を分析してみると、世代関係の歪みを見て取れることがしばしばです(第31回の少年犯罪の国際比較も参照)。間もなく年が変わりますが、ご自身の養育態度を点検してみるのもいいかもしれませんね。それと、学校での成績が全てではないことを、子どもに言い聞かせたいもの。今の時代、生き方の「オルタナティブ」はいろいろ開けているのですから。