子どもは親と話したがっている

 皆さんは共働きで、腰を据えて子どもと話す時間なんてとれない、という人も多いでしょう。まつおりかこさんの名作『たからもののあなた』では、次のようなシーンがあります。朝、子ウサギが「おかあさん、きょうはようちえんのあと ミイちゃんのおうちにあそびにいくんだよ」と話しかけますが、あまりに忙しい母親は「そうそう、そうね。たのしみね」と流してしまいます。テーブルの上には、作るのに手間がかかりそうな朝ごはんが並んでいます(私から見たら)。

 仮にフランス人の筆になる作品だったら、バケットをかじり、カフェオレに口をつけながら、親子で語らうシーンが描かれていたかもしれません。向こうでは、朝ごはんは恐ろしく簡素ですので。

 週に何日か、こういう「手抜き」の日を設けてみるのもいいかもしれませんね。子どもは、親と会話するのを嫌ってはいないようです。親と会話するのが好きでないという子は、小学生では8.3%、中学生では14.4%しかいません(国立青少年教育振興機構『インターネット社会の親子関係に関する意識調査』2018年7月)。

 ただ、親と話すのを嫌っている子に理由を問うと、小学生では「よく叱られるから」という項目の選択率が高くなっています(37.5%)。「勉強の話ばかり」「分かってもらえない」「異論を言わせない」という理由も多し。会話というのは、相手とのキャッチボールです。親子の「タテ」の間柄とはいえ、エゴを出し過ぎないよう注意しましょう