妻の働き方別の所得比較

 現実がこんなですので、今までと同様、子育て・教育の費用を家計任せにするというのは無理というものです。ましてや、男性(夫)の稼ぎだけで子を2人大学へやるというのは、非常に難しいと思われます。現に「共働きでないとやっていけない」という声が各地で上がっており、だからこそ、幼子がいる親は血眼で保活に取り組むのです

 40代前半の夫婦の所得が、妻の就業タイプによってどう異なるかを明らかにしてみましょう。基礎材料として、以下の3グループの所得中央値を計算してみました。2017年の『就業構造基本調査』のデータによります。

 A:40代前半の有配偶の正規雇用男性 = 540万円
 B:40代前半の有配偶の正規雇用女性 = 345万円
 C:40代前半の有配偶の非正規雇用女性 = 103万円

 これらを組み合わせて、夫婦の所得の3パターンを割り出すことができます。

 夫も妻も正社員の夫婦 = A+B = 885万円
 夫正社員・妻非正規(パート等)の夫婦 = A+C = 643万円
 夫正社員・妻無業(主婦)の夫婦 = Aのみ = 540万円

 子ども2人を大学にやるには、600万円はないとキツイと思いますが、最後の専業主婦世帯はこれを下回っています。妻がパートの世帯は、かろうじて超えるというところ。子どもが18歳になる、40代後半から50代前半のステージになればもっと上がるかもしれませんが、年功賃金が薄れている今、その保証はありますまい。

 ちなみにこれは全国の数値で、地域別にみると様相が違っています。私の郷里の鹿児島は所得水準が低いので、「夫婦とも正社員でないと子を2人大学になんてやれない」といわれます。

都道府県で所得には大きな開きが

 私は、上記のA~Cを都道府県別に計算し、40代前半夫婦の所得の3パターンを県ごとに出してみました。図2は、47都道府県の数値の分布をドットで表したものです。

 正社員夫婦でみると、全県で600万円を超えています。東京と神奈川は1000万円超です。しかし妻がパートになると19県に減り、主婦世帯になると2都県しかなくなります。600万のラインを基準にすると、28の県では、夫婦とも正社員の共働きでないと、子を2人大学に行かせるのはキツイと。

 余談ですが、沖縄の正社員夫婦の所得(623万円)が、東京の主婦世帯(676万円)に及ばないというのは驚愕ですね。

 主婦世帯では600万円を切る県が大半で、500万円にも満たない県も少なくありません。男性の腕一本で家族を養える時代など終わっている、というべきでしょう。