学費の効果はあるのか? 有力大学合格者数で検証

 塾代や浪人費用を考慮しても、私立は公立よりカネがかかるようですが、それに見合った効果が得られるのかどうか。有力大学合格者の輩出率が、公立と私立でどれほど違うかを比べてみましょうか。

 毎日新聞社の『高校の実力・2017年度版大学入試全記録』という資料に、高校別の有力大学合格者数(浪人含む)が載っています。都内だと公立180校、私立238校のデータが出ています。これらの高校のデータを集計し、有力大学合格者の出現率を公私別に計算しました。有力大学合格者が、卒業生全体に占める比率(%)です。

 明らかにしたのは、1)東大・京大、2)その他旧帝大、3)都内の国立大、4)早慶上智、5)MARCH、6)日東駒専、の合格者出現率です。

 東大・京大、その他旧帝大、早慶上智、MARCHの合格者出現率は、公立より私立で高くなっています。早慶上智とMARCHの差が大きいですが、附属校の存在の影響でしょう。最高峰の東大・京大は、公立が0.5%、私立が1.4%なり。週刊誌でよく出る東大合格者数ランキングでは毎年、上位を国・私立校が寡占しています(昔は違ったのですが)。

 都内の国立大学合格者率は、公立のほうがちょっと高くなっています。私は東京学芸大学に行きましたが、都内の公立出身(現役!)の人が結構いたかな。日東駒専は、「公立 > 私立」です。

 このデータを見る限り、私立に行かせることは、多額の費用負担に見合った効果をもたらしてくれる、と言えるかもしれません。ただ、早慶上智やMARCHの公私差は「附属校効果」によるもので、これらを除いたらどうなるかは分かりません。