教育社会学者の舞田先生が統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。第57回のテーマは情報機器の所持についてです。デジタルネイティブと呼ばれ、幼いころからスマホやタブレットに慣れ親しんでいる日本の子どもたち。就学後もさぞや、デジタル機器を使いこなし、世界のIT界のトップを走る人材に育っていくのでは、と思いますね。ところが驚きの現状を舞田先生がデータで示してくれました。我々親は子どものデジタル教育にどう取り組むべきなのでしょうか。この機会に考えてみませんか?

スマホ、パソコン所持率が段違いに低い日本の中学生

 こんにちは。教育社会学者の舞田敏彦です。新年度になり1カ月が経ちましたが、お子さんの生活がかなり変わった家庭も多いかと思います。上の学校に上がった新1年生はとくにそうでしょう。

 唐突ですが、スマホって何歳くらいで買い与えるのでしょうか。2015年度の調査によると、スマホの利用率(≒所持率)が半分を超えるのは、男子は15歳、女子は13歳です(内閣府『青少年のインターネット利用環境実態調査』)。男子は高校、女子は中学校に入った時に買い与える親御さんが多いようですね。女子の場合、「グループでLINEをやる、スマホがないと仲間外れにされる」などと言って、おねだりする年齢が早いのでしょう。

 しかるに、海外ではスマホデビューはもっと早いようです。やや古いですが、2013年の内閣府の国際調査では、各国の青少年に情報機器の所持状況を尋ねています。表1は、13~15歳のうち、自分専用のスマホ・パソコンを持っている子の割合を掲げたものです。中学生の所持率の国際比較と見てよいでしょう。

 日本と他の6カ国の間に段差がみられます。日本のスマホ所持率45.7%、パソコン所持率30.3%は、他国に比して段違いに低くなっています。韓国や欧米では、中学生にして双方とも8~9割です。

 表の3つの数値から、スマホもパソコンも持たない子の割合を計算すると、日本は41.3%にもなります。中学生の4割が自分のスマホもパソコンも持っていないと。他国では、こういう子はごくわずかです