もうすぐ夏休みがやって来ます。受験生にとっては、まとまった時間が確保できるため、受験勉強に集中できるという利点がありますが、「この夏を有意義なものにできるかどうかは、正しい勉強の進め方次第」。そう話すのは、中学受験専門のプロ家庭教師・安浪京子先生です。

夏休みといえば、各塾では夏期講習が実施されますが、それを受講するだけでは成績は伸びていかないということでしょうか? 4~6年生の各学年の受験生にとって、夏期講習とはどのような目的と効果があるのか、安浪先生に解説していただきました。
(日経DUAL特選シリーズ/2018年7月収録の記事を再掲載します)

【小4の夏】「勉強への耐性」を身に付けるため、夏期講習は参加したほうがいい

 夏休みになると、各塾で実施される夏期講習。多くの塾の場合、年間のカリキュラムに組み込まれているので、ほとんどの子が受講します。ただし、夏期講習への参加は強制ではありません。

 「でも、4年生なら受講したほうがいいでしょう。4年生の夏期講習は、大手塾はどこも約2週間程度と日数も短く、内容もSAPIX以外は復習が中心です」

 「これまでの学習が順調に進んでいる子にとっては、内容が少し物足りなく感じるかもしれませんが、この時期は勉強の内容よりも、これから受験勉強を進めていくために必要な『勉強への耐性』を身に付けるための受講をオススメします。集団クラスで勉強することで、みんなと一緒に頑張りながら、学習ペースをつかむという効果が期待できます」

 「夏休みに入る前は、小学校の授業が終わってから塾へ行くという、ある程度一定のペースを保つことができます。しかし夏休みは、学校が休みになるため、生活のリズムが乱れてしまいがちです。そうならないためにも、夏期講習に通うことで、例えば、午前中に学校の宿題と塾の宿題に取り組み、午後に塾で講習を受け、その日の授業で習ったことはその日のうちに復習をするといった一定のペースを保つようにしましょう」

 「4年生の夏期講習は、学習サイクルと生活のペースをつくるためが主たる目的ですので、それ以上の勉強はしなくても大丈夫です。塾の勉強と宿題をしっかりやって、あとはたくさん遊びましょう。むしろ、今この時期に遊ぶことで得られるもののほうが多いのです。遊びを通して、様々な体験をさせてあげましょう。それが後の勉強につながることが多々あります」

 では、5年生になるとどうでしょうか?