市長や社長23人が発表 「興味と理解が深まった」

マルティン・ラークソン小中一貫校で6年生を指導する教師のヤロさん。突然のインタビュー依頼にも関わらず、快く応対してくれた
マルティン・ラークソン小中一貫校で6年生を指導する教師のヤロさん。突然のインタビュー依頼にも関わらず、快く応対してくれた

 子どもたちを引率していた6年生のクラス担任ヤロさんは、「小学生の内容は職業体験の色が濃く、中学生になると起業家教育へと入っていきます。例えば、9年生は現代社会の授業で、学級ごとにビジネスを興す企業体験に取り組んでいます。生徒のアイデアで『先生の車を洗い収入を得る』というビジネスもありました。クラスで会社を作ったという形態を取っているので、生徒たちにお金が入るわけではなく、クラスみんなのお金として計上しています。Me&MyCityのような施設を利用することで、さらに幅広い体験ができますね」と話す。

 新カリキュラム前後の変化についての感想を聞いてみた。

 「新カリキュラムの導入によって、学校全体で教科横断的なテーマ学習を取り入れたり、デジタル化が進んだりと大きな変化がありましたが、1年経って落ち着きましたね。当初の研修のときは話を聞いたり、関連資料を読んだりという感じでしたが、実際に導入して教育現場で実践していく中で、研修で学んできたことが生きていると感じています」

 前回の記事でも紹介したように、教師は、フィンランド国内において、医師や弁護士などの専門職と並び人気が高く、ステータスの高い職業の一つ。OECDの調査で教師の満足度が9割という結果が出ているが、平均給与月額でみると、医師(約83万円)、弁護士(約59万円)、小学生教諭の3900ユーロ(約51万円)というように、教師を目指す大きな理由は、給料水準ではないことが分かる。

「仕事に満足している…90%」「教師の仕事をもう一度選ぶだろう…85%」「教師は社会の中で価値がある仕事だ…60%」。教師の満足度がとても高いフィンランド
「仕事に満足している…90%」「教師の仕事をもう一度選ぶだろう…85%」「教師は社会の中で価値がある仕事だ…60%」。教師の満足度がとても高いフィンランド

教師の平均月額給与と人気職業の水準比較
教師の平均月額給与と人気職業の水準比較

 一方、日本では教師の長時間労働やうつ病などによる休職者の多さが問題視されており、仕事に満足感を感じ意欲的な教師と、そうではない教師の差が、学校・地域間によっても大きいように感じる。日本の状況を伝えつつ、フィンランドの教師の労働環境についての意見を聞いた。