「趣味予算」も「子育て予算」も削らない、は確かに無理

 趣味を諦めない、とは言ったものの、それは「趣味予算を削らない」という意味ではありません。

 子どもが生まれた以上は、子育て予算という今までなかった費用が誕生したことになります。日々の家計にも数万円以上の負担が生じますし、中学以降になれば塾や予備校の費用、高校と大学の入学金と学費がかかり、いずれも「趣味優先」というわけにはいきません。

 まず、一人あたり、学費で最低1000万円、子育て費用をすべて勘案すれば2000万円はかかると考えてみます。子ども一人にかかる学費以外の1000万円相当を22年で負担するとすればこれは毎月3.8万円くらいの負担に相当します。高校と大学の学費を7年で1000万円負担するとすればこちらは月11.9万円です(もちろん一部は事前準備するわけですが)。

 しかし、子どもが生まれたからといって年収が上がるわけではないので、子育てのための予算として何か別の出費を削るしかありません。結局のところ、趣味の予算、自分たちの被服費、夫婦で楽しんでいた食事代や飲み代を削ることになります。

 だとすると、「予算は削りつつも趣味を楽しむ」という方策を考えていくことが、子育てと趣味の両立のカギということになります。

趣味予算を上手に子育てと平行する3つの方法

 趣味予算を上手に子育てと平行する方法はおおむね3パターンに分けられます。

1.頻度や月予算を抑える

 一番現実的な選択肢は、予算の切り詰めです。といっても、趣味に使う時間が減れば、おのずと予算が下がる、ということもあります。今までは週イチで楽しんでいた趣味も、子どもを配偶者に預けて半日ないし一日抜け出せるのは月イチとなれば予算は自動的に4分の1となるはずです。

 この場合はむしろ4分の1の予算だけは認めてもらいつつ、おでかけの際の子どもの相手を月イチで配偶者にしてもらう交渉が必要になります。

 予算そのものを下げる方法もあるでしょう。先ほどの私の例でいえばゲームやアニメのディスクは買わずマンガだけ買うことで予算がほぼ半減しました。アニメは見るだけでしたらほとんどお金はかかりません。マンガも数割くらいに厳選することにしてさらに予算を絞っています。

 趣味を全部諦めるのではなく、予算を抑えて趣味を続けるということはもっと前向きに考えてもいいと思います。

2.子どもと楽しむ趣味に切り替える

 二つ目の、これまた現実的な選択肢は、趣味を「子どもと楽しむ何か」にシフトさせるということです。子どもと一緒に楽しむことができれば予算は正当化できる可能性が高まります。

 深夜アニメを独りだけで視聴するのではなく、子どもと一緒に特撮ものや週末朝のアニメを見るようにして、子どもに与えるおもちゃ予算として再定義するようなやり方、子どもと一緒に遊ぶテレビゲームに限って購入するようなやり方など、子どもと楽しみつつ趣味を途絶えさせないなど工夫の余地があるはずです。

 アウトドア系の趣味も子どもが乳幼児であったときはストップせざるを得ませんが、成長するにつれ、子どもを巻き込むことでリスタートできるかもしれません。

 私の場合、サッカー観戦という趣味をそろそろリスタートさせたいのですが、子どもが私のひいきのチームのサポーターになってくれないと困るので、さりげなく試合のシーンを見せてみたり駆け引きをしています。

3.予算のかからない趣味を見つける

 今までの趣味は思い切り予算縮小したとしても、新しい「カネのかからない趣味」を見つけ出すことも考えられます。

 若いころも夢中になるものが何度か変遷したと思いますが、年齢に応じて趣味が変化してもいいわけです。子育て中にお金のかからない趣味を見つければ、のめり込んでも予算的不都合が回避されます。

 私の場合だと35歳ごろから街歩きを始めました。ブラタモリのような感じでいろんなエリアを歩くのですが、歩くだけならお金は全くかかりませんので気楽なものです。ときどき参加費を求められる団体の街歩きにも顔を出しますが、それも数カ月に一度、予算は数千円くらいでしょう。

 街歩きをしながら古い建物を写真に撮る趣味もありますが、デジタル一眼レフカメラには手を出さず、iPhoneで撮影するので追加コストもかかりません。むしろGPSデータが自動保存されるのでiPhone写真のほうが建物写真には便利だったりします。

 街歩きは子ども抜きで行くのも楽しいですし、子連れでときどき歩くのも楽しいものです(付き合わせる子どもに鯛焼きを買ってあげるなどのご褒美は必要ですが)。

 気まぐれに何か新しい趣味を始めてみると、子育てのいい気分転換が見つかるかもしれません。