子育て世帯は就職氷河期世代で割を食っている

 子育て世帯が転職活動を進めるべき理由はもう一つあります。それは、今子育て中の世代の多くが新卒の時点で就職氷河期だったため、割を食っている可能性が高いからです。

 私が「転職を考えてみては」とアドバイスすると、「就職活動で落ちるのが怖い」「“お祈りメール”は見たくない」といったイメージが強く、なかなか転職活動に踏み出せないという人がいます。私も1995年の就職組ですから、気持ちはよく分かります。新卒の求人市場はひどいものでした。それ以来、何十年も就職氷河期が続いてきました(一時雪解けしたようですが、総じて悪いままでした)。

 ところが、今の就活は楽勝で、就職を希望する学生のほぼ全員が内定をもらえるようになっています。タイミングの問題で致し方ないとはいえ、今の学生はずるいという気持ちは拭えないはずです。読者の皆さんがもし、今ならもっといいところに就職できる能力のある人材なら、転職することによって「あなたが本来もらえるはずの収入」のポジションに移れることになります。

 20代から30代にかけて、取り損ねたぶんの給料を取り返し、これからの年収もアップすることができれば、それはあなたの生涯賃金を数千万円増やしてくれるかもしれません。同じ能力を発揮して、より多くお金をもらえるチャンスがあるとしたら、その選択肢を私たちは選ぶべきです。

夫婦で順番に、無理せず転職活動を進めていこう

 ただし、共働き夫婦が子育てもしながら転職活動をやっていく場合は、いくつか注意してもらいたいことがあります。

 まず「同時に転職するのは避ける」ということです。転職活動自体は同じタイミングに行ってもいいのですが、できれば内定が決まった後、実際に会社を移るタイミングは1カ月でも2カ月でもいいので、ズラしたいところです。やはり新しい仕事や職場環境に慣れるには多少時間がかかりますし、しばらくは自由に退社するのも気を使うことでしょう(あまり空気は読み過ぎないほうがいいと思いますが)。イライラして帰宅後、夫婦がストレスをぶつけ合うような事態は避けたほうが無難です。

 次に「できれば夫が先」ということです。子育て中の女性が時短勤務をしている場合、面接で時短を続けたまま正社員採用希望と言わざるを得ないわけですが、この場合はどうしても成功率は下がってしまいます(それでもチャレンジはしてほしいですが)。

 だとすればパパのほうが先に、大きく年収を上げる可能性、あるいは有休取得がしやすい「ホワイト企業」への転職を模索してみるのがいいと思います。

 もちろん「男性が先に」というのは男尊女卑的な意味ではないので、ママが先にいいチャンスに巡り合った場合は、パパとしては協力してしばらくは定時退社や有休消化をしてでも家事・育児をサポートしてあげてほしいと思います。