未使用の有休はただ消滅するだけ。換金はできない

 まず有休の基本から。有休は働く人の権利として法律に基づいて付与されるもので、「働かなくても給与は減らされない仕組み」です。

 基本的には勤続6カ月経過で10日。以降、付与日数が少しずつ増えていき、6年6カ月以降は年20日が毎年もらえる有休日数となっています。つまり、転職などがなかった場合、パパ・ママは一般的に毎年20日が付与されることになります。

 しかし未使用の場合、有休の権利取得から2年を超えると消滅します。結果として毎年の「上限日数」のような形が生まれることになります。40日以上の有休は(会社が年20日以上有休を付与してくれるのでなければ)基本的に失効したことになります。

 有休は原則として、事前の申請により取得します。やむを得ない場合に当日ないし後日に手続きをすることもありますが、上司との相談や調整が行われ、了承を得ることが大原則です。

 有休を換金することはできません。未使用の有休が22日残っているから、消滅時に1カ月分の給与とみなして上乗せ給付をもらうようなことはできないわけです。これは有休を買い取ることで会社が「労働者を休ませない」リスクを防ぐための決まりなのですが、言い換えると利用しないほど会社員は損、ということでもあります。

 基本的には「1日単位」で有休は取得しますが、会社の規定に基づき「半休」「1時間休」「2時間休」のように分割して取得することもできます(時間単位年休)。近年では小刻みな有休取得を認めることで利用もしやすくなり、消化率が上がると考えられており、規制緩和が進められています。ただし、時間単位年休は年5日分が限度となっています。

 ……ちなみにこういうルール説明、ママは全く不要なはずで、手続きも慣れているはずです。有休の仕組みや手続きは会社ごとのルールで運用されている部分も多いので、有休の仕組みを知らなかったパパは、人事部にでも話を聞きに行って、自社のルールを覚えてください。

子どもの病気でも、男性は計画的に有休取得を目指せ

 さて、有休取得ルールが分かったところで、今度はその活用方法です。

 皆さんの職場でママさんが朝9時に会社に電話をしてきて「すみません、子どもがいきなり熱を出したので休みます」とか「朝病院に連れていって保育園に登園してからの出社なので、1時間年休でお願いします」と連絡をしてくるケースがあると思います。これは有休をその日の朝に取得しているケースです。

 こうした休み方もぜひ男性はチャレンジしてほしいのですが(だって、夫婦のどちらかがやらなければいけないことなのだから、必ず女性が担当するべき、というのはおかしい)、まずは計画的な有休取得から考えてみましょう。

 最初にチャレンジしてみたいのは「もしかしたら、休むことになるかも」への対応です。例えば週末には夫婦で話し合って、「あー、もしかすると明後日あたり子どもが体調崩すことになるかも」というような「もしかして」を想定しておきます。

 次に夫婦がお互いに、「明後日の午後なら打ち合わせもないし、早上がりできるかも」とか「月曜の会議で日程を確認するけど、木金なら休んで子どもの相手をすることは可能かも」のようにお互いに予定をすりあわせておきます。

 もちろん「水曜午前だけは重要なプレゼンだから休むのは無理」と調整しておくのも必要です。ここはむしろママのほうが「木曜は営業先で大事な会議があって絶対に休めないから、何かあったときはあなた休んでくれる?」とパパに調整を頼んでおきたいところです。

 スケジュールをお互いに交換したら、パパのほうも休む可能性を考えてみます。数日後のことであれば男性も職場で休む調整が可能であるはずです。

 「あ、もしかしたら明後日、午後休ませてもらうかもしれません」
 「子どもが体調を崩したら、木曜日の午前は自分が病院に連れていくので半休を取ることになるかもしれません」

 このように職場で伝えておけば、休むことはそれほど難しくないと思います。