0歳から英語を始めると、日本語の敏感性も促進される

 その理由について、佐藤さんは「英語教材に取り組むことで、音を集中して聞く習慣ができたのでしょう。英語を聞いてまねして繰り返すことで短期記憶も鍛えられます。それが日本語の反復力の高さにもつながっているのではないかと考えられます」と分析します。

 佐藤さんはさらに、「教材に親子で取り組むことで、親子のやりとりの機会が増えた点も大きく関与していると思います。言語の獲得のためには、人とのやりとりはとても大切です。例えば母語は練習しなくてもいつかは話せるようになりますが、やりとりをたくさんしていないと、小学生になったときに語彙数に大きな差が出ます」と指摘します。

 「親子のやりとりが大事」と言われると、「英語の発音に自信がないけど、子どもに悪い影響は出ないの?」というおうちの方の疑問が出てきます。その疑問についても、佐藤さんのチームは検証しました。「母親の英語の反復力・語彙力の点数と、子どもの英語の反復力・語彙力の点数に相関関係は見られませんでした。英語が苦手でも、安心して話しかけてください。CDやDVDで正しい発音にふれている限り、影響はないと考えられます」。

教材を続けている子のなかで能力に差が出てきた理由

 佐藤さんたちのチームでは、同じ子どもたちを対象に調査を継続しています。続けていくうちに、同じ教材を受講している子どもたちの間で能力に少しずつバラツキが出てきた、と佐藤さんは言います。そこで、4年目となる今年の調査では、教材に取り組んでいない子どもとの比較でなく、教材を続けている子どもたちの間で成長度合いを見ました。

 「英語の語彙力テストに加えて、新たに『Let’s play soccer.』などの英文の反復力テスト、さらに英文の応答力も見ました。応答力は『How old are you?』などの質問に『I’m three.』などと答えるもの。日本語は文の反復力と理解力テストをしました。その結果、英文の反復力と応答力は相関性が高く出ました。文をまねできるということは理解している、理解しているから質問に答えられる、ということだと思います。また、英語の語彙力と英文の反復力も相関性があり、英語の語彙力と英文の応答力も相関性がありました。たくさん単語を知っていると、英文も頭に入りやすい、といえるでしょう」。

 この結果から何が導き出されるのでしょうか。「反復してまねする力がつけば、応答力まで行き着ける、ということです。保護者のかたに『日常生活のなかでも英文を使ってみてください』と伝えてきましたが、英語が苦手な保護者のかたは『英語の文を発するのは難しい』と言われます。そういう方には『では、DVDを見てフレーズをまねているだけでもよいですよ。それを見て、子どももまねするようになりますよ』と伝えていました。親が英文で子どもに話しかけることができなくても、子どもにまねっこする力がつけば、いずれは応答力もつくと考えられます」。

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