ビジネスSNSを展開するウォンテッドリーの創業社長である仲暁子さん。京都大学卒業という学歴を持つ仲さんですが、研究者の両親は、勉強や成績については全く干渉しないタイプだったため、子ども時代は好きなモノ作りに明け暮れ、伸び伸び過ごすことができたといいます。そんな仲さんに、共働き両親から何を学び、どんな影響を受けてきたのかを語っていただきました。子ども時代の思い出や両親の子育て方針などについて聞いたインタビュー前半と併せてお楽しみください。

研究者の両親は「子どもの勉強は我関せず」

日経DUAL編集部(以下、――) インタビュー後半ではまず、勉強について伺わせてください。仲さんは小学校、中学校は地元の公立で学び、高校でニュージーランドに留学、大学は京都大学に進学されました。研究者で、大学の先生でもあるご両親は、やはりわが子の教育についても熱心だったのですか?

仲暁子さん(以下、敬称略) 実はその逆で、勉強について何か言われることは全くありませんでした。成績にもさほど興味を示さず、私がテストでいい点数を取っても「良かったね」程度の反応でしたね。

 塾に入ることも親から勧められたことはなく、中学に入ってから、友達に誘われて自分から入りました。成績のランキングが貼り出される塾に入ったことで初めて競争意欲が湧いた感じです。

 高校や大学の進学についても「この学校がいいんじゃない」という話も全くなし。ただ、自分たちが大学教育に携わっていたからか、「大学には行ったほうがいいよ」とは言われていましたね。

 私はもの作りが好きだったので、「高校卒業後は映像関係の専門学校に行きたい!」と思った時期があったのですが、母親にやんわりと「大学で映像を撮ってそこから監督になったりする人が多いんだよ」と私を説得していましたね。でも、進路に関して何か言われたのはそれくらいかもしれません。

―― 勉強や進路選択に関して、子どもの意思を尊重されていたのですね。

 “子どもの人生”より“自分たちの人生”に夢中だったのだと思います。両親は二人とも研究が大好きで、仕事に没頭していて、自分のキャリアのチャンスをつかむことに一生懸命でした。「私たちは私たちの人生を思い切り楽しむ。だから、あなたも、自分の人生を楽しみなさい」というのが基本スタンスだから、子どもに対して過度な要求も期待もしない。結果、私はすごく楽でした。

 実は、周囲の友達の中には、親からの期待が重過ぎて、受験に合格した後にグレてしまった子もいたのですが、私は親からのプレッシャーとは無縁の生活が送れたことは、とてもよかったと思っています。

 それに仕事に打ち込む母のおかげで、子ども時代に貴重な経験もできましたしね。

―― 例えばどんな経験でしょうか?