複数の顔を持つことは、不安定な社会を生き抜く強み

 パラレルキャリアを実践するようになり、実感していることがあります。女性には、母親、妻、嫁、会社員などいくつもの顔があり、大変だと感じることもあると思います。でも実は、いくつもの顔を持つことは強みなのではないか、と思うんです。

 以前の私は、本業と、それ以外の仕事や社会活動は、全くの別物だと捉えていました。でも、今になって、本業においてもパラレルキャリアで得た人脈に助けられることが増えてきているんですね。パラレルキャリアによってつながった人脈がなければ、実現できなかった仕事もあり、そうした働き方を会社から望まれるようになってきているのです。もしかしたらもう、本業とそれ以外を分ける必要なんてないのかもしれない。

 私は、パラレルキャリアにおける働き先のことを「接続先」と呼んでいて、育児や仕事において、接続先を増やすことは「依存先」を増やすことと同じだと思っています。先行きが見えない社会を生きていくためには、依存先がたくさんあることは強みです。それこそが、メンタル、収入面での安定を支えてくれるのではないか、と思っています。

 そうしたことを自分自身の経験として実感しているから、もっともっと、「パラレルキャリア」を実践する女性たちが増えるといいなあ、と思います。それによって、働くママたちがより一層、自由になっていければいいですよね。

取材・文/武末明子(日経DUAL編集部) 写真/坂齋清