夫婦は共に働き、共に育児や家事をする――。この意識は、ここ何年かで随分と普及したのではないでしょうか。なのに、子育て世代がモヤモヤを抱えたままなのは、取り巻くルールが旧時代のままだから? この連載では、前向きに自分の人生を切り開いている人を紹介します。一人一人の小さな変革でも、社会を変えるうねりになるかもしれません。

前回に続き、人材サービス系の企業で働く2児のママ。一度目の育休後はマミートラックに苦しみましたが、二度目の出産では、育休中に現在の仕事にもつながる新事業の立ち上げに着手。育休をブランクにしないよう、金子さんが取り組んだのは“ボランティア”という新たな選択肢でした。

今回のDUALなヒロイン

 金子麻由子(かねこ・あゆこ)さん。1982年生まれ、37歳。8歳の長男と3歳の長女、夫と千葉県で4人暮らし。10年に長男を出産し、1年半の産休・育休を経て、12年4月に復職。15年に取得した2人目の産休・育休では、復職後のキャリアを見据えた活動を開始。現在は残業なしのフルタイムで勤務。育休中のママのボランティアマッチングサービス「ママボラン」を立ち上げ、イベント企画や広報業務、ママ向けの研修を担っている。


男女には違った役割がある。女性のキャリアに興味を抱くように

 独身時代の私は、「男性と同じように扱ってもらいたい」という気持ちがとても強いタイプでした。価値観が変わったのは、妊娠してからです。

 つわりがひどかった私は、とても妊娠前のように残業をすることはできなくなりました。女性扱いしないでほしいなんて言っていられませんよね。自分の意思だけではどうにもならないことがあるのだと痛感し、それをきっかけに、女性と仕事について真剣に考えるようになりました。「女性×キャリア」に興味を抱くようになったのです。

 現在は、それが私の仕事になっています。担当している「ママボラン」という事業は、育休中にボランティアをしたいママと企業をマッチングさせるサービスです。2017年夏、パーソルホールディングスの新事業としてスタートしました。現在の登録者数は約1000人、ボランティア先の企業は50~60社に上ります。

 ボランティアと言っても、ゴミ拾いなどの奉仕活動を行うわけではありません。ママの専門性を活かした企業でのインターンのようなもので、打ち合わせなどは子ども連れでオフィスに行ってもらい、実際の作業は在宅で行います。

育休中にボランティアを経験。人脈と視野が広がった

 どうして私が、このサービスを手掛けようと思ったのかというと、育休明けのキャリアが、育休中の過ごし方で決まると実感していたからです。