家事への強迫観念がなくなり、楽しんで仕事をする姿を伝えられるように

 私はこれまで、「子どもと離れてまでやりたいことなのか?」「今、この姿を子どもに自信をもって見せられるのか?」ということに重きを置いて仕事をしてきました。しかし、それとは逆に、仕事が充実したことで育児においても「こうでなければならない」という強迫観念から解放されたようにも感じています。今では、いかにして家事の手を抜くか、効率的に生活するかということばかり考えているんですよね(笑)。

 例えば、以前は晩御飯を帰宅後に作っていましたが、子どもが一人で待っていられないので、朝にやってしまうことにしました。朝は朝で時間があまりありませんから、既にカットされた宅配の野菜セットをいためておき、それを帰宅後に温めて食べることにしています。これも、「子どもに食べさせるものは栄養を考えて作らなくては!」と意気込んでいた、以前の私では考えられないことです。後片付けや洗濯も、夫と私のどちらか余裕があるほうがやるようにしています。

 子どもと一緒に料理をしてくれる外部サービスを利用して、ご飯の作り置きをお願いしていた時期もありました。私がボランティアに行っていた会社では、大学生が共働き家庭を訪問するプログラムがあるので、それもお願いしています。

 大学生に「働くこと」「家庭を築くこと」を体験してもらうこのプログラムは、将来のなりたい姿を描けるようにするのが目的です。専業主婦家庭で育った大学生も多いので、働くママの実態を知ることができるのは新鮮なんですね。逆に、依頼した私には、二人体制で大学生が子どもと遊んでくれて、ご飯を作ってくれるというメリットがあります。

 うちに来る大学生からは、よく「どういう仕事をしているんですか?」「仕事で嫌なことってありますか?」と質問されるのですが、最近は、そうした会話を何度も聞いていた息子が、「ママって、楽しいからこの仕事をしているんだよね」と言うようになりました。学校で親に向けて書く手紙にも、必ず「お仕事がんばっていてえらいね」と書いてくれるんです。

 そういう意味では、やりがいのある仕事を楽しんでいる私の姿が、息子にも伝わっているのではないかと思えています。