一人目の産後、今後のキャリアにおけるビジョンが何もなく、育休明けにマミートラックに陥った私は、2人目の育休ではその反省を生かし、ワーキングママ向けのイベントや、インプットの勉強会などに積極的に参加するようになりました。自ら情報を取りに行くようになったことで、人脈も視野もみるみる広がりました。

 中でも大きかったのが、ボランティアの経験です。私は女性活躍推進を掲げるベンチャー企業にボランティア活動をしに行き、そこでイベントサポートやメルマガの作成などをお手伝いしたのです。

 育休中は、社会と断絶されがちです。ボランティアを通して日本語の通じる大人と話せたのは、とてもうれしかったですね。地域の子育てセンターなどでは育児の話はできても、なかなか仕事の話までは踏み込めません。ですが、企業でのボランティアであれば仕事の話をするのが当たり前ですから踏み込んだ話もできますし、企業で働くので復職後のイメージをつかむこともできます。

 ボランティア先の企業が、自分の会社ではないことにもメリットがあります。キャリアの棚卸しができるからです。一つの会社で長く働いていると、「自分のスキルが他の会社でも通用するのだろうか?」と、漠然とした不安を抱えがちですが、他の会社で働くことで、自分の会社で働いているだけでは分からなかった強みに気付けるようになるんです。

 育休中にボランティアを望んでいるママは私だけではなく、想像以上に多いという実感がありました。ただ、当時はまだ、働くママと企業をつなぐスキームがなかったのです。私がボランティアをできたのも、たまたま同僚の先輩ママから、受け入れ先の企業を紹介してもらえたから。ボランティアをしたいママと企業をマッチングさせるスキームが必要だと感じました。

 育休中でしたが、年に一度行われる社内の新規事業案コンテストに「ママボラン」の企画を応募することにしたのはそのためです。メンバーは、まだ育休中だった同僚ママと育休から復帰したばかりのママの3人。

 「ママボラン」はその後、一次審査を通過しどんどん駒を進めました。なんと役員プレゼンには、子連れで臨んだのです(笑)。

 その結果、社会的な課題を自社の強みを生かして解決するCSV(Creating Shared Value)として、事業が実現することになりました。一人目のときとは大違いですよね。育休明けは、「ママボラン」の立ち上げメンバーの一人として、会社に復帰することになったのです。