夫婦は共に働き、共に育児や家事をする――。この意識は、ここ何年かで若い世代を中心に随分と普及したのではないでしょうか。なのに、子育て世代がモヤモヤを抱えたままなのは、取り巻くルールが旧時代のままだから? この連載では、親になったからと受け身にならず、前向きに自分の人生を切り開こうとしている人を紹介していきます。一人一人の小さな変革でも、社会を変えるうねりになるかもしれません。

  前回に続き、家事代行サービス会社で働く里田恵梨子さんを紹介します。屋外広告の会社で広報の仕事の面白さに目覚めたものの、長女の様子が不安定になったことをきっかけに、心身をすり減らす無理のある働き方を見直すことに。「本当にやりたい仕事」を自問自答した末に出合った今の会社で、家庭も大事にしながらやりがいをもって働ける理想的な形にたどり着きました。働くママならではの仕事術や心強い仲間の存在、新たな目標について聞きました。

今回のDUALなヒロイン

 里田恵梨子さん。36歳。5歳の娘、夫との3人暮らし。2012年7月から2013年3月まで産休・育休を取得。大学卒業後、製薬会社に就職しMRとして札幌に赴任するが、1年後に結婚のため退職。精神保健福祉士の資格を取得し病院に勤務したのち、不妊治療をしながら働ける職場を求めて、28歳のときに屋外広告会社に転職する。そこで長女を出産し、復帰後は広報部門の立ち上げに関わった。2016年、家事代行サービスのCaSy(カジー)に転職。広報担当として、メディア向けの情報発信や利用者向けのイベント企画などを行っている。


 心身共にギリギリの状態で私が仕事をしていることは、「ママ、お仕事をやめて」と言わせてしまうほど、当時3歳の娘にも精神的な負担をかけていました。決まった時間にちゃんと保育園に迎えに行ける、時間的にも生活的にももう少し余裕の持てる仕事がしたい。自宅の周辺には徒歩圏内にオフィスビルが多くあったので、そういうところで派遣社員として働くなら、娘に不安を与えるようなこともないだろう。そう考えて、派遣会社に登録してとあるオフィスへ顔合わせに向かいました。ところがそこで、仕事に対する自分の思いを見つめ直す、思いがけない言葉をもらうことになります。

「派遣の仕事を、本当に何年もやっていけますか?」

 その会社では派遣社員の募集と並行して、正社員の中途採用も行っていました。そちらには私より若く、職務経験の少ない人も応募してきていたそうで、「あなたには来てもらいたいけれど、本当に派遣社員で、決まった業務を処理する仕事を何年もやっていけますか?」と、担当の方が親身に聞いてくれたのです。広報の立ち上げや、メディア向け発表会の企画といった経歴を持っていった私に、中途採用への応募でもいいのではと感じてくれたようでした。

 そんなことを言ってもらえるとは思いもしなかったので、その場では「私は派遣で働きたいです」ということを伝えましたが、帰ってからも言われた言葉がずっと頭の中に残りました。

 今は肉体的にも精神的にもくたくただから「やるべき業務を指示してもらえる働き方がしたい」と思っているけれど、私が本当にやりたい仕事は、自分で何かを切り開いていくとか、企画するといったことではないだろうか。きっとどこかのタイミングで、「やっぱり別のことがやりたかった」と後悔し、仕事をバリバリと頑張っている周りのママたちと自分を比べるようになるのではないか。そうすると、自分に対して否定的な気持ちが、家庭にまた悪い影響を生んでしまうのではないか…。

 結局、派遣で働くことはしませんでした。広報の仕事はすごく楽しいと思っていたので、自分が心からいいと思える商品やサービスを見つけて、そのPRに携わりたいと、仕事を探し直すことにしました

次ページから読める内容

  • 「自分に向けたサービスだ」と思える会社との出合い
  • メリハリのついた働き方で気持ちにも余裕が
  • 相手の都合に「合わせ過ぎない」ようになった
  • 働くママたちは「つながり」「共感」を求めている

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