夫婦は共に働き、共に育児や家事をする――。この意識は、ここ何年かで若い世代を中心に随分と普及したのではないでしょうか。なのに、子育て世代がモヤモヤを抱えたままなのは、取り巻くルールが旧時代のままだから? この連載では、親になったからと受け身にならず、前向きに自分の人生を切り開こうとしている人を紹介していきます。一人一人の小さな変革でも、社会を変えるうねりになるかもしれません。

前回に引き続き、就職支援会社に勤める落合さつきさんを紹介します。時短勤務という時間が限られた状況だからこそ、仕事の仕方に変化が生まれたという落合さん。長めの通勤時間もうまく活用しつつ、時間に追われながらも充実した日々を過ごしています。また、子育てをしながら働く女性たちも社内に増え、先輩としてアドバイスを求められる立場にもなりました。

今回のDUALなヒロイン

落合さつきさん。37歳。小学2年生の息子と4歳の娘、夫との4人暮らし。2010年1月から10月まで第1子の、2013年2月から11月まで第2子の産休・育休を取得。大学卒業後、テレビ制作会社を経て、25歳のときに若者の就職支援を行うジェイックに入社。入社以来、ほぼ一貫してキャリアカウンセラーとしてキャリアを積む。現在も時短勤務をしながら、就職支援講座の講師や求職者の対面カウンセリング、就職のフォローなどを行っている。


 子育てしながら働くようになって、仕事と家庭の切り替えはうまくなりました。時短で働いていて、5時には会社を出なくてはいけないという時間が決まっていることで、やっぱり段取りはすごく意識しています。

 あとは、「やらないこと」を決めるようにもなりました。私がいなくても、他の人にやってもらえることはお願いする。第1子の出産後は完璧にやらなきゃと気負っていたし、周囲に頼るのは申し訳ないという気持ちもありましたが、今は「困っているときは私も助けるけれど、ごめん、今は助けて!」と言えるようになりました。お互いさまだし、どうしたって一人では仕事は回せないですからね。

通勤電車で、母親の顔から会社員の顔へチェンジ

 完璧を目指さないのは家でも同じです。夫は休日の家事・育児は協力してくれますが、平日は帰りが遅いこともあり、基本的に時短勤務の私がワンオペ。だから二人目ができてからは「完璧なんて無理!」と悟りました。離乳食も一人目のときは全部手作りしなきゃと思っていましたが、娘のときはレトルトを使ってもいいやとか、力の抜きどころが分かってきました。

 私は通勤時間が割と長いのですが、最寄り駅が始発で座れるので、新聞を読んだり、仕事のメールチェックを済ませたりする時間に活用しています。電車に乗っている40分くらいの間に、母親の顔から会社員の顔へスイッチを切り替えます

 会社に着いたら求職者との面談の準備をします。面談は多いときで1日に3本。1本が1時間半くらいなので、3本入っている日は面談で1日の大半が終わります。面談後に内容をまとめるのもかなり時間はかかりますが、そこは10年以上キャリアカウンセラーをやっているので、何とかこなしていますね。

 夕方5時になったら毎日ダッシュで帰る感じです。というのも、下の子の保育園と、小学生になった上の子の学童の2カ所を回らないといけないから。今はそれが本当に大変です。

 5時に会社を出ても、自宅の最寄り駅に着くのは6時半。保育所は7時までなので、いつも10分前くらいに滑り込みで到着しています。

 そこから今度は学童です。通勤では自宅から駅まで車を使っていて、子どもたちのお迎えも車で移動しているのですが、保育園と学童が少し離れているんですよ。学童は民間なので8時まで大丈夫ですが、やっぱりおなかをすかせていますし、早くお迎えに行ってあげたいと思うといつも時間に余裕がありません。

 さらに今は息子がバレーボール部に入ったので、週2回は保育園で下の子をピックアップしたら小学校の体育館に向かい、8時まで息子の練習にはりついていないといけないんです。そういう日の帰宅後は、まさに戦場。お味噌汁のお湯を沸かしつつ保育園の荷物をチェックしたり、ぐちゃぐちゃのランドセルの中を見たり。全部「ながら」でやるようになりました