できるかできないかではなく、やるかやらないか

 結婚したばかりの後輩に、これからの働き方について相談されたりすることもあります。そういうときにどんなアドバイスをするかというと…すごく簡単に言ってしまえば「何とかなる!」です(笑)。結局、これに尽きると思うんですよね。

 私がもし独身のときに今みたいな生活の話を細かくされても、「絶対できない」と思ったはず。でも当事者になってしまえば、できるかできないかではなく、やるかやらないか、なんです。状況は人によって千差万別ですし、悩んでいても仕方がない。やるしかない状況に追い込まれれば、乗り越えられるものだなあって私自身が実感しています。

 仕事では、これからも対人での就職支援はずっとしていきたいと思っています。今は会社としての事業ターゲットが20代の若者層ですが、個人的には女性の就職支援にも関心があります。ママさんたちってすごく優秀な人が多いので、いったん仕事を離れた主婦の方がもっと社会復帰しやすい環境を整えたり、悩みの相談に乗れたりできたらいいなと思っています。あとはシングルマザーを対象にした就職支援講座も作りたい。明確なビジョンはまだ模索中ですが、働く母親としての自分の経験を仕事に少しでも生かせたらと思います

息子に職場を見せたことがいい経験に

 小さいときは体が弱かった息子も、今はすっかり丈夫になりました。小学校に入った当初は「学校に行きたくない」とか「みんな下校するのに何で僕は学童に行かなきゃいけないの」とか、駄々をこねられたりもしたんですけれど、「ママ、仕事辞めたほうがいい?」って聞いたら、「辞めなくていい」って言ってくれました。

 一度だけ、息子が熱を出したときに私が仕事をどうしても休めなくて、職場に連れてきたことがあったんです。会社にも事情を話して、面談が終わるまでの1、2時間だけということで了解をもらって。息子はそのときに私の職場を見てから、「ママが働いている」ということを理解したように思います。「お母さん、いつも新宿まで行っているんだよね?」とか、「僕、ママの会社に行ったことがあるんだよ」なんていう話もするようになったりして。結果的にいい経験になったみたいでした。

 親としては、母親も働いているのが当たり前という職業観を小さいころから持ってもらいたいし、「ママはかっこいい」と思ってくれているようで、うれしいですね。

(文/日経DUAL編集部 谷口絵美 撮影/坂斎清)