仕事と子育て、両方あることでバランスが取れる

 このときに限らず、つらくて辞めようかなと思うことは節目節目にあります。ただ、私自身の気持ちを考えたときに、まず何より仕事が好き。それに、いつか子どもから手が離れたときに自分に何もなくて、空っぽになっちゃうのが一番嫌なんです。今は大変かもしれないけれど、長期的なスパンで考えたら、これがずっと続くわけじゃない。そういうふうに気持ちを立て直して、頑張ってきました

 3歳下の長女は全く病気にならなくて、本当に楽です。息子同様早生まれで、やはり産後10カ月くらいで復帰しました。息子が通っている保育所にきょうだい枠で入れることがあらかじめ分かっていたので、心のゆとりも全然違いましたね。

 認可に入るために職場復帰を急ぐような必要はなかったのですが、当時の職場で同じキャリアカウンセラーの仕事をしているメンバーが私を含めて3人しかいなかったんです。残った2人に負荷がかかってしまうのが申し訳なくて、早く復帰したいという思いがありました。

 それに、私が性格的にずっと家にいられないタイプで、家に閉じこもっていると余計なことを色々考えてうつうつとしてきてしまうんです。早く復帰して世の中とつながりたいという思いが強かった。

 今は、仕事のストレスは子どもで癒やされ、子どものストレスは仕事で発散してというようにバランスが取れるようになったので、両立していることが自分にはよかったのだと思います

「おしゃれして働くこと」に感じた小さな罪悪感

 第1子を出産した8年前、私が住んでいる街ではワーキングマザーはまだそんなに多くありませんでした。復帰直後は駅の近くの認可外の保育所に息子を預けていたのですが、スーツ姿で赤ちゃんを抱っこして荷物を抱えて歩いていると、珍しいのかジロジロ見られたんですよ。

 育休中で母親業に専念しているときは服装もメイクも構っていられなかったけれど、仕事をするときは美容院にも行ってきちんとおしゃれもしたいと思うのは自然なことですよね。でも、そういうことに罪悪感みたいなものもちょっとありました。今思うとおかしな話なんですけど。

 当時は身近な人からも「子どもを預けて働くの?」と言われました。まだ小さいのにかわいそうにね、というようなニュアンスで。悪気はないんでしょうけど、そのせいで自分の中でも働くのはいけないことなのかなと捉えてしまった部分はあったと思います。

 第2子のときは、もう子どもを預けて働くことへの罪悪感は全然ありませんでした。最近は環境も本当に変わったなあと思いますね。私はカチッとした服を着てヒールの靴を履くと、気持ちのスイッチが入ります

(文/日経DUAL編集部 谷口絵美 撮影/坂斎清)