前回に続き、ITベンチャーの人事部で働く2児のママ、竹中紗弓さんのお話を紹介します。育休を経て復帰した経験を社内制度に生かすべく、社内制度を考え中という竹中さん。日々の仕事では、「業務を属人化せずにチームで動く」という体制にシフト、「決められた時間で結果を出す」ことに意識を向けています。その業務改善への意識は、平日の夫不在の家事にも発揮され、自分の時間も楽しんでいます。

今回のDUALなヒロイン

 竹中紗弓さん(たけなか・さゆみ)さん。1988年生まれ、30歳。5歳の長男と2歳の長女、夫と埼玉県で4人暮らし。⼩学生からフェンシングを始め、⾼校1年のときにはジュニアの日本代表として世界大会に出場。大学でもリーグ戦優勝などに貢献する。卒業後の2011年にITベンチャーのALH(株)に新卒で入社し、法人営業に配属。13年に結婚・出産し、1年半の産休・育休を経て、15年4月に復職。16年に現在の人事部へ移動し、同年秋に2人目の産休・育休を経て17年4月に復職。現在は時短勤務で、新卒採用や広報業務を担っている。


 うちの社員の平均年齢は29歳と若いので、産休・育休の実績がまだ多くないんですね。その中で私は、2度取得しています。

「申し訳なさそうに『妊娠報告』」をなくしたい

 2013年に一度目の産休・育休を取得しようとしたときは、会社としてもまだ前例がほとんどなかったこともあり、妊娠を報告した際の上司は「マジか…」と落胆していました。

 入社3年目の授かり婚で、結婚と妊娠報告が同時であったこと、営業部の戦力として私に期待をかけてくれていた故の素直な反応だったのは重々分かっているのですが、妊娠を報告した私も「すみません…」と申し訳ない気持ちになりました。あのモヤモヤ感は、今でも残っています。

 女性が妊娠、出産を経ても普通に働き続けていくことを考えたら、上司に妊娠を報告する女性社員の気持ちに、わだかまりを残させちゃいけないですよね。快く産休・育休に送り出してあげて女性社員も気持ちよく休んだほうが、その先の会社の利益のためにもいいと思います。

 うちの会社には、通常の有休制度や産休育休制度の他に、男性社員向けの「もう産まれます休暇(妻のおなかにいる子が産まれそうだから休む)」や、未婚の社員が享受できる「独身貴族謳歌休暇」などユニークな休暇があるんですが、より女性社員に特化した制度を立ち上げたいとも考えています。

 女性社員も男性社員も、産休育休を取りづらい雰囲気をどんどんなくしたい。いずれは「くるみんマーク」(※「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証し)の認定に向けて動くことも考えています

 社内制度という形でアプローチすることと、業務自体を改善することも会社全体として積極的に考えています。1年前から、社内業務を属人化せず、チームで動かすスタイルにシフトしています。

「女性を快く産休、育休に送り出してあげたほうが、その先の会社の利益のためにもいいですよね」と話す竹中紗弓さん
「女性を快く産休、育休に送り出してあげたほうが、その先の会社の利益のためにもいいですよね」と話す竹中紗弓さん