IT業界はどんどん新しい技術が生まれて、プログラミング言語の常識や主流も変わります。一から勉強し直す必要がありました。

 営業の仕事も、復職前に自分が担当していたお客さんは他の担当が引き継いでいたので、新しい関係構築を自分でやるしかありませんでした。

 時短勤務を取得していたので17時には退社するのですが、当時の法人営業部は、完全に個人プレーのスタイルでしたから、帰宅後に取引先の担当者から電話がかかってくるのは日常のこと。保育園のお迎え後にぐずっている息子のすぐ隣で、夕食を作るためにフライパンを振りながら、お客さんの電話対応をしていることもありました。

 そんななかで、上司も周囲も、私に産休前の営業成績を望んでいました。私自身も期待に応えたい気持ちもありました。とはいえ、働ける時間が減ったなかで同等の結果を出すのはかなりの難題です。営業成績が思うように振るわないことに、苦しさを感じるようになりました。

 周囲の同僚に頼らざるを得ないことへの申し訳なさも、ストレスになっていたと思います。

 営業として提供するサービスは、官公庁や都道府県自治体、金融、流通など様々な業界の業務管理システムや基幹システムを構築するため、各プロジェクトに自社のエンジニアをアサインすること。お客さんとエンジニアの間に入って営業がアテンドするわけですが、その際の打ち合わせは、取引先であるお客さんの業務時間後であることがほとんどです。

 17時には退社する私は打ち合わせに同席できず、同僚が代わりに行ってくれることが何度もありました。

 頼めば気持ち良く引き受けてくれるものの、みんなそれぞれ個々で企業さんを担当しています。だから、いくら私のお客さんに対応してくれても、業務が増えるだけでその営業成績は私のものになってしまう……。自分が周囲の足を引っ張っているように思えました。

知能発達に遅れのある長男の保育園との不協和音

 仕事で結果が出せない以上につらかったのは、長男の通う保育園とあまり良好な関係が築けずにいたこと。長男は知能発達が同年齢の一般的なお子さんより、遅れています。

 1歳の時点で、ハイハイをしていない、指差しをしない、「あう」「うー」などの喃語をほとんど話さないなど、成長が少し遅いんです。その保育園に預け始めたころの1歳半健診でも指摘され、保健センターなどに通い始めたころでした。

 毎日18時半にお迎えに行くと、社会福祉の知識に詳しい園長先生は、息子への接し方についてのアドバイスをくれました。