最近、深夜仕事が続いている長男(24歳)をキャンプに誘った。体と心のリフレッシュにはアウトドアが最適だ。自然の中でゆったり過ごせば、体のリズムも取り戻せる。久しく親子キャンプはしていなかったが、大人になった息子と過ごす男同士のキャンプの夜もいいじゃないか! ということで、いざ、出発!

 今回は、そんな父・小栗雅裕さんが、長男と2人で“男キャンプ”に出かけたお話です。

地球がベッドってこういうことか(イラスト/小栗千隼)
地球がベッドってこういうことか(イラスト/小栗千隼)

大地に横たわれば、最高にリラックスできる

 私は肩こりとは無縁の体質だが、なんとなく背中の張りを感じるときがある。肩甲骨辺りの筋肉が張ると、呼吸が浅くなる。以前、それは肺が膨らむ空間が狭くなるからだと、医者の友人に教えられた。以来、そんなときは肩甲骨を意識して動かすようにしている。それでもなんだかすっきりしないときは、バイクに乗ってソロキャンプに行くのが、健康維持を兼ねた密かな楽しみになっている。

 背中の違和感を取るには大地に横たわるのが一番だ、と思っている。背筋が気持ちよく伸びて柔らかくなる。なにしろ地球がベッドだから、安定感が抜群だ。目を閉じれば、地球に守られて宇宙に対峙している自分がいる。そう想うだけでも最高にリラックスできるのだ。今回は、そんな心地よさを息子にも味わわせてやろうという、優しい親心がいっぱいの企画である。

大人のキャンプはゆったりと

 昔、何度かキャンプに連れていったが、幼いころは野山に繰り出して興奮するばかりで、親子ともリラックスとはほど遠かった。たき火をしても、テントに入っても、すべてが非日常だから興奮状態は収まらない。そのうえ寝相もメッチャ悪いから、一緒に寝る親は眠れたものじゃなかった。

 今回は大人のキャンプだ、ゆったりいこうぜ、と余裕をもってキャンプ場に向かい、昼過ぎには到着。着いたのは、開けた高原キャンプサイトで知られる内山牧場キャンプ場。今回の目的「地球がベッド」には最適だ。つづら折りの道の先にあるバイクキャンパー垂涎のキャンプ場でもある。シーズンには顔見知りのバイク乗りによく会う。

 「空が近いねー、思ったより人が少ないね」
 「だろ~、父ちゃんのお気に入りさ。とりあえずテント張るぜ」

テント設営中は暑いくらいだった。テントくらい、一人で立てないとだめだね
テント設営中は暑いくらいだった。テントくらい、一人で立てないとだめだね

 深夜仕事が続き、昼過ぎに起きる生活が続いていた長男は「眠いなぁ、いつもなら熟睡中の時間だわ」とあくびをしている。「テント張ったら昼寝できるから」と、テント張りの基本をレクチャーしながら、テントふた張りとタープを設営完了。しきりにウグイスが鳴いている。高原は、今が春なのだ(行ったのは5月中旬)。

 調理用の水の確保とストーブ(キャンプ用のガソリンバーナー)の準備を長男に頼み、たき火用の薪拾いに出かけた。しばらくして戻ったら、案の定息子はタープの下で爆睡中。大地に寝る心地よさを教える前に、既に実践しちゃったわけね。

 あ、キジが鳴いている。起きたら教えてやろうかな。“けんもほろろ”って言葉はキジの「ケーン」という鳴き声からきてるんだってこととか。

そりゃ気持ちいいでしょう。でもまだ準備は終わってないぞ
そりゃ気持ちいいでしょう。でもまだ準備は終わってないぞ