現在、24歳の長男。20歳になったときに初めて飲んだお酒はサワーらしい。しばらくはビールもおいしいとは思えず、何度か悪酔い(ムチャ飲み!)も経験。日本酒やワインをうちで勧めても、積極的に飲もうとはしない。そんな彼の口から、最近お酒の味が何となく分かるようになったと聞いた。これは良いチャンス!

 ――と、父・小栗雅裕さんが、とっておきのワインショップに息子を連れ出したお話です。

おいしいワインを求めて

「僕だってもうすぐ、飲めるんだからね!」と19歳の次男 (イラスト/小栗千隼)
「僕だってもうすぐ、飲めるんだからね!」と19歳の次男 (イラスト/小栗千隼)

 日本酒、お寿司に合うよね、と長男が言った。

大事な子どもたちを紹介するようにワインのことを話してくれる沼田店長
大事な子どもたちを紹介するようにワインのことを話してくれる沼田店長

 ビールは、深夜にDVD見ながら自分で作ったポップコーンと一緒に楽しんでいるのは知っていた。そうか、日本酒(醸造酒)が飲めるようになったならワインもいけるのではと、今回の企画を持ちかけてみた。

 訪れたのは、東京世田谷・梅が丘の「リカーランドなかます」。無農薬、有機栽培で育てられたブドウを使った自然派ワインを豊富にそろえたワインショップだ。オーナーの沼田利也さんには私が料理教室を開くときにワインのセレクトをお願いしている。また、長男の幼稚園以来の親友のお父さんでもある。

 私が遅れて行くと、長男は、沼田さんから、ブドウ畑の土のことから始まって、ワイン作りの基本的なことをすでに聞いていた。

 ちょっと顔つきが変わっていた。沼田さんのワインにかける情熱に少しは触れたようだった。沼田さんも、自宅には遊びに来ても店には足を踏み入れたこともなかった長男を、うれしく迎えてくれていた。