詰問口調をぐっとこらえればやり取りがスムーズに

 普段、意識せずに使っている言葉を少し振り返ってみましょう。

 例えば、お子さんが園や学校から帰宅して、お弁当箱やお手紙などを出すのを忘れている場面で、何と声をかけるでしょうか? 「なんですぐに出さないの?」と詰問するような言い方をしてしまうと、その時点で自分自身が嫌な気持ちになっていますし、お子さんからも反抗的な言葉や態度が返ってくることが多いでしょう。

 「早く出しなさい」と言いたい気持ちをぐっとがまんして、「今日はお手紙あった?」「何か忘れていることないかな?」と言えたら、お子さんも素直に「お手紙あったよ!」「お弁当箱、出すの忘れてた」と気付けるのではないでしょうか。もし、反抗的な言葉や態度が返ってくるようなら、「さっき、どんなふうに声をかけたっけ」と自分自身の言葉や態度を少し振り返ってみてください。

 夫や妻など、パートナーと接するときも同じです。「早く~して!」と要望ばかり言ってはいないでしょうか? 「こうしてくれるとうれしいんだけど」と希望を伝えるようにすると、お互い気持ちよく動けるでしょう。

 しつけにおいては親がすぐに「正解」を言わないこと、本人に考えてもらうことが重要です。そして、コミュニケーションは「伝える」ことよりも、「相手が理解する」ことのほうが、より大事です。

 また、子どもが無意識にしてしまったことや、不可抗力で仕方なかったようなことも、叱っていないでしょうか? 食事中の子どもの手が、つい滑ってコップを倒してしまった……こちらもイライラして「なんでこぼしたの?」などと問い詰めてしまうこともあるでしょう。でも、失敗してしまったことは本人が一番よく分かっていますから、「こぼしちゃった…」と言えたときにはぜひ「大丈夫だよ、よく言えたね」と言ってあげたいですね。

 その場では親自身も感情的になっていることもあるでしょう。すぐには認められなくても、落ち着いたら素直に自己開示できたことを「あのときは、びっくりして怒ってしまったけれど、こぼしてしまったことをよく言えたね」ときちんと認めてあげてほしいと思います。嘘やごまかしはいけないということは、お子さん自身が一番よく分かっているのですよね。

 ただ、3歳以上になると、おうちの外でも言葉を覚えてきますから、パパやママの影響が100%というわけではありません。嫌な言い方や乱暴な言葉遣いをしたときに、「そんな言い方しちゃダメじゃない!」などと厳しく注意すると、「だって、~だから!」とまた言葉でやり返してくるのが女の子です。そんなときには、やり込めたい気持ちをぐっとこらえ、「そうやって言いたくなる気持ちは分かるけど……」と子どもの感情に寄り添ってみたり、「あら、残念だわ」とさらりと返したり、とにかく「真っ向勝負」にならないように気を付けたいですね。

 何かマイナスのことが起こったときに、反射的に強い言葉を言ってしまうタイプのお子さんもいれば、そうでないタイプもいます。すぐに言い返さないお子さんは、自分の中で、マイナスの言葉を発する前に、きちんと気持ちを消化する習慣がついているのですね。子どもに対して、強い言葉を使い出すとキリがありません。「~しなさいって言ったでしょ!」ではなく、「~したいんだけど、お願いできる?」と丁寧に伝えることをおうちの中でも意識していきましょう。

 男の子にも、タイプ別に叱り方のコツがあったように、女の子にもタイプ別に叱り方のコツがあります。次ページから詳しく見ていきましょう。