全く問題がない“完璧”な家庭はありません。子どもの成長とともに訪れる課題に全員が「チーム」として取り組み、自分たちらしい家族を形成すること――それが「ファミリー・ビルディング」の考え方です。幼児教育を通して6000人以上の子どもと接し、数多くの家庭をコンサルティングしてきた山本直美さんが、悩めるデュアラー世代へアドバイスします。結婚前は笑って許せていたパートナーの欠点、家族歴が長くなるにつれ、許せなくなってくるのはなぜでしょう。幸せなファミリーの土台は円満な夫婦関係だと分かってはいるけどついお互いにイライラ……家族が増えるにつれ変わってゆく夫婦の関係にどう対処すべきか、山本直美さんにアドバイスをもらいました。

◆山本直美さんの連載「親だってわかんないときもあるさ」も併せてお読みください!◆
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http://dual.nikkei.co.jp/article/014/53/

出産直後に急降下する「夫への愛情」

 こんにちは。チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美です。

 気付けばあっという間に師走。普段は忙しいパパやママも、少し立ち止まってこの一年を振り返ってみようという気持ちになるシーズンですね。ご自身のこと、お仕事のこと、お子さんのこと、そしてご夫婦のこと。この一年、どんな時間を過ごし、どんな関係を築いてきたでしょうか。家族と過ごす時間の増える年末年始に、ゆっくりと振り返ってみたいですね。

 特に子どもにとっては、とても大切な環境の一つでありながら、改めて考える機会が少ないのが「夫婦関係」です。「夫婦として、この状態はよくないな」と思いながらも、見直すきっかけが持てずにいる、という方もいるかもしれません。

 今回は、その「夫婦関係」をテーマにお話ししたいと思います。

 子育て期は「最も夫婦仲が悪くなりがちな時期」だということをご存じですか? 結婚直後には最も高かった夫への愛情が、出産直後には急激に下がり、代わりにグンと上昇するのは子どもへの愛情。「子どもが生まれてから妻が急に冷たくなったように感じる……」というパパの嘆きをそのまま示すようなデータもあります(以下のURLを参照)。

出典:東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長 渥美由喜著「夫婦の愛情曲線の変遷」
<参考URL>
http://www1.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/Portals/0/jigyou/wlb/curve.html

 忙しい日々に埋もれていると「毎回、なんでこんなケンカになってしまうのかな……」「なんでうちの夫はこうなんだろう」「どうしてうちの妻はこうなのか」など、相手の欠点ばかり目につき、苦しくなってしまいがちです。子どもが生まれて、夫婦のパートナーシップが変化する時期に入っているのに、そのことに無自覚なまま、「結婚前はこうだったのに……」という気持ちを抱き続けていると、その先に起こる「家族の課題」に対応することが難しくなっていきます。

 例えば、子どもが思春期を迎えたときには、夫婦で子どもに向き合うということがとても大切です。子どもがママに対してよくない態度をとったときには「僕の大切なパートナーにそういうことをしないでくれるかな」とパパがきちんと叱る、パパに対して子どもが嫌な言葉を使ったときには、ママが「パパにそういうこと言っちゃダメでしょう」ときちんと注意する、というように。

 でも、仲が良くないと、こういう向き合い方ができなくなってしまいます。さらに、その先の熟年期までこの状態を引きずってしまうと、子どもが独立して夫婦二人になったとき、お互いにとても寂しい思いをすることになってしまいますね。

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