相手にしてほしいこと、言ってほしいことはその都度ストレートに伝える

 夫婦の役割分担を考えるときは、自分だけが大変な思いをしたくないという気持ちがあるかもしれません。でも、それぞれに得意不得意があり、完全に平等にやることは難しいのではないでしょうか。それぞれ「自分がやるよ」という積極的な気持ちで向き合えるのが理想ですが、今のパパ世代は母親が専業主婦だった方も多く、何をしたらママが喜ぶのか、助かるのかが分からないということがよくあります。

 さらに、共働きのモデルを実際に見ていないから、親もやっていないことをやっている自分は「ものすごくやってる」という気持ちになったりもするのですよね。

 でも、一方のママは時代背景もあり、パパは「イクメン」として積極的に家事や育児に関わってくれるのが常識と思っているところもありますから、ここでもすれ違いが起きてしまいます。

 ママたちが「分かってくれない」と不満をためていても、パパたちは「分からない」のです。

 ため込んだ不満がついに大爆発、大げんかに発展……ということになる前に、「こうしてほしい」「そういうときには、『ありがとう』と、ひとこと言ってくれる?」と、「今、パパに何をしてほしいか」を、その都度伝える習慣を身に付けることが大事です。ママたちには「こういうふうにしてくれたら、うれしいんだけどな」という言葉をさらっと言えるようになってほしいと思います。それさえ言えれば、パパのほうも「なんだ、本当はそうしてほしかったんだね」と、素直にやってくれるようになりますよ。

 DUAL世代の共働きのパパやママを見ている今の子どもたちが親世代になったときには、夫婦の役割分担やコミュニケーションもきっと大きく変わっていることでしょう。

「夫婦の定例ミーティング」という二人きりの時間を作る

 もう一つ大事なことは、家族として、お互いを気にかける習慣を持つことです。ただ、忙しい日常の中では相手を思いやる余裕もなく、なかなか難しいことだと思います。でも、子育て期に余裕があることはありませんから、「あえてその時間を作り出す」ということを考えていきたいですね。

 いつもお伝えしていることですが、私は、夫婦の「定例ミーティング」を持つことをおすすめしています。子ども抜きで夫婦でゆっくり話をする時間を定期的に作り、お互い不満をため込まないようにする習慣です。

 ある夫婦は、平日に二人でタイミングを合わせて半休を取り、デートをしていたりします。たまには、こんな積極的な半休の取り方があってもいいですよね。夫婦の定例ミーティングも、家の中でやるだけでなく、外でおいしいものでも食べながら、ゆっくり話ができれば、もやもやしていることを素直に相手に打ち明けられるいい機会になるかもしれません。

 人間関係は「ギブ&テイク」。自分がしてあげなければ、相手は自分が望むことをしてはくれません。まずは自分がしてほしいことを相手にしてあげることができれば、夫婦関係もきっとうまく回り始めることでしょう。

 ただ、お互い違う人間なので、どうしても意見が平行線になってしまうこともあるでしょう。そんなときの判断基準は、「子どもにとってどうするのがベストか」ということ。子どもの成長や発達に合わせて、夫婦の在り方も柔軟に変えていく、そんな意識でいてほしいなと思います。きっと、子どもが見て一番安心できるのは、パパとママが仲良くしている場面なのではないでしょうか。家族の成長を喜び合い、ねぎらい合える家族を、ぜひ自分たちでつくっていってくださいね。

(イメージカット/鈴木愛子)