全く問題のない“完璧”な家庭はありません。子どもの成長とともに訪れる課題に全員が「チーム」として取り組み、自分たちらしい家族を形成すること――それが「ファミリー・ビルディング」の考え方です。幼児教育を通して6000人以上の子どもと接し、数多くの家庭をコンサルティングしてきた山本直美さんが、悩めるデュアラー世代へアドバイスします。今回のテーマは、「イライラしない親になりたい」。家事、育児、仕事と毎日こなすのが精いっぱい。心に余裕がなく、ついイライラして子どもを叱り過ぎてしまう……そんな悩みに山本直美さんがアドバイスします。

◆山本直美さんの連載「親だってわかんないときもあるさ」も併せてお読みください!◆
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ついイライラしてしまう自分に自己嫌悪

 こんにちは。チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美です。

 今年は梅雨明けが早く、本当に暑い日が続きますね。

 忙しさに暑さが加わると体力的にも消耗しますし、夏休みなどで家族一緒に過ごす時間が長くなると、ついつい感情的な言葉が出たり、子どもにイライラしてきつく叱ってしまったりで、自己嫌悪に陥るパパやママもいらっしゃるかもしれません

 でも、子育て中に、全くイライラすることのない人なんていません。この「イライラしてしまう!」というお悩みは、子育て中のパパやママたちからのご相談のトップ3に入るかもしれませんね。

 実は「イライラして子どもに当たってしまう!」と悩んでいる人は、発散するエネルギーの方向さえ変えればいいので、「解決方法が見つかりやすい人」でもあります。

 一方で、感情の発露よりも思考が先で、いつも平常心でいられる人ほど要注意。子どもにとってはよい反面、自分でストレスがたまっていることに気付きにくく、何かをきっかけに涙が止まらなくなる、なんていうことも。「心と体は連動しているので発散が必要」ということに、まずは気付くことが大事です。

 もちろん、できることならば、イライラしないほうがいいとは思いますが、私はパパやママは思わず感情が出てしまうことがあってもいい、と思っています。

 当たってしまう先は子どもではないほうがいいのですが、「イライラしたところを見せたりしても許し合える」関係性は家族だからこそ。素直な感情を出し合えるのも、パパ、ママの特権です。「さっきはきつく言い過ぎちゃってごめんね」という言葉をちゃんと準備しておけば大丈夫です。

 ただ、四六時中イライラしたり、不満や怒りが大きくなり過ぎたりしているように感じるなら危険信号。自分でストレスを発散する方法を見つける、いい機会かもしれません。