全く問題がない“完璧”な家庭はありません。子どもの成長とともに訪れる課題に全員が「チーム」として取り組み、自分たちらしい家族を形成すること――それが「ファミリー・ビルディング」の考え方です。幼児教育を通して6000人以上の子どもと接し、数多くの家庭をコンサルティングしてきた山本直美さんが、悩めるデュアラー世代へアドバイスします。今回のテーマは、「習い事」。とにかく何か自分の「強み」となるものを見つけてほしい、才能を伸ばしてあげたい、とトライ&エラーで色々挑戦させたいのが親心。一方で、そんな「習い事」が子どもの負担になっていることも少なくありません。どのようなスタンスで子どもの習い事に付き合えばいいのか、山本直美さんに聞きました。

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親が選んだ習い事、詰め込み過ぎは子どもに負担も

 こんにちは。チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美です。

 年が明け、早一カ月が経とうとしています。年始には、気持ちも新たに取り組んでみたいことを考えられた方も多いのではないでしょうか。お子さんのことも春の進級に向けて、色々考え始める時期ですね。

 習い事についても、子どもたちの可能性を伸ばしたい、お勉強で後れを取らないようにしたい、共働きなので放課後や夏休みは習い事をさせて時間を埋めておきたい……など、色々と考えていらっしゃることでしょう。

 でも、「子どもが習い事をする意味」をあまり考えず、親の思惑だけで習い事を選択していると、気付けばスケジュールがいっぱいで息つく暇もないような状況になりかねません。

 よく「子どもは疲れない」ということを聞いたりもしますが、もしかしたらそれは、子どもが自由に使える時間がたっぷりあった時代の話かもしれませんね。

 今の子どもたちは様々な面で満たされていますから、生活全般に創意工夫がなくなる傾向にあります。例えば、暑さ寒さをしのぐという経験も、昔に比べると少なくなっていますよね。暖をとるためには石油ストーブに灯油を入れなくてはならない、朝起きたらストーブをつけないと寒い、ということがあまりありません。

 タイマーで暖房のスイッチが入り、朝起きたら暖かく、真冬でも家の中では裸で走り回れたりします。そういう時代に、「毎日習い事」「土日は習い事の掛け持ちで予定がぎっしり」というような状況になると、子どもたちはただこなすことに精いっぱいになってしまいます。どんな体験も受け身になり、自分の意思で選ぶということができなくなるのです。

 特に小学校低学年くらいまでのお子さんには、「これがやりたい」という本人の意思がまだあまりないので、最初からフル回転で習い事をさせてしまうと疲れてしまいます。高学年になり、中学受験などを考えて塾に通うようになるころには、子どもなりに受験に対する意思も感じられるようになります。しかし、低学年の間は、学校で勉強して家では予習、復習をきちんとやる、というくらいで毎日精いっぱいです。それに加えて習い事となると、特にしっかり者で「ちゃんとやらなきゃいけない」と思うタイプのお子さんにとっては、負担が大きくなりますね。

 大人が何かを始めるときは、大体の期間と目標が分かっているので見通しを立てることができます。それでも、忙し過ぎると体調を崩してしまうことがありますよね。一方、子どもは親から言われた習い事をこなすだけで、そうした「見通し」は立てられません。毎日をただ忙しく過ごすだけというつらい生活になってしまいます。

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