習い事の先生は小学生にとっての「メンター」

 小学生になると、自分を取り巻く「社会」を周囲の大人たちから感じる時期になり、習い事の先生の役割がとても大事になってきます。「親が言っても聞かないけど、サッカーのコーチの言うことは聞く」ということもありますので、先生と信頼関係を築いていくことがとても大切です。同じ習い事でも、先生次第で子どもたちのイメージや取り組み方、上達具合がまったく変わりますから、それをよく理解したうえで習い事を選んでほしいと思います。

 最近は、学童で習い事ができるようなっているところもありますが、これには少し注意が必要です。親にとって便利だからと毎日習い事になったり、先生との相性が良くないまま続けることになってしまったり、習い事をやめてしまうと学童に居づらくなったり……ということも起こり得るでしょう。先生との相性も含めて慎重に見極めたいですね。

 子どもだって、慣れ親しんだ匂いや愛着のあるモノがある自分の家で、のんびり過ごしたいときもあります。放課後の時間を埋めるために毎日習い事になるよりは、可能であれば、シッターさんをお願いして、おうちで過ごせたほうが子どもにとってはよい場合もあるでしょう。余暇がないとゆっくりリラックスできず、常に緊張と興奮を脳に与えることになってしまいます。

 こういう時代においては、予定を詰め込んでいろんなことをやり過ぎるよりは、一つの習い事で知識や経験を広げて深めていく、という意識のほうが大事になってきます。

「伸ばしてあげたい才能」は普段の生活や遊びの中に隠れている

 幼児期のうちに、やらせてみたいな、出会わせてあげたいなと思う習い事や、一生モノになるような習い事が見つかるとうれしいですね。

 例えば、ピアノは小さなときから習うことで、音感やテクニックを身に付けやすいですね。将来、もしも音楽の道へ進もうと思ったときにも、ピアノの経験は必要になるため、一生モノにつながる習い事と言えるかもしれません。

 それを見極めるのはなかなか難しいことですが、普段の遊びの中に現れることがよくあります。例えば、指先を使うのが好きなお子さんは、楽器が上手だったり、絵を描くのが上手だったりしますから、お子さんがどんな遊びを好むのかをよく観察してみるとヒントが見つかるかもしれません。

 ただ、きちんと身に付けようと思うと、幼児期には「静」と「動」の習い事を一つずつ、というのが限界かなと思います。例えば、ピアノなどの芸術系の習い事を一つと、水泳などの運動系の習い事を一つ、というように。

 好きなこと、得意なことから始めて、そこで自信をつけてもらい、楽しさを感じられるようになったら、次の習い事にもチャレンジしてみるのがおすすめです。それを、一度にピアノと水泳とテニスとサッカー……となってしまうと、どれも身に付けられなくなってしまいます。

 また、習い事を何か一つでも、集中して頑張りたいときは、親も子どもと一緒に知識や経験を広げ、楽しむことが大切です。例えばバレエを習っているお子さんであれば、プロのバレエ団の公演を一緒に見に行ったり、お友達のバレエの発表会を見に行って、プログラム構成や振付、衣装を比較してみたり。お風呂上がりにストレッチを一緒にやってみたり。お友達が発表会に来てくれたら「来てくれてありがとう」という気持ちを伝えるお手紙を準備したり。そういう時間も大事にしたいものです。

 バレエスタジオに通わせてさえいれば、自動的に上達するわけではないですし、さらに他にも色々習い事をやっていたのでは、なかなか深めていくことができません。

ピアノは人気の習い事
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