優秀な人材が残業のない職場に流れて行っている

駒崎 残業の問題についてはいかがですか?

中原 実は今度、パーソル総合研究所さんとの共同研究で、「残業学」という本を12月に出します。やはり残業をいかに減らしていくかは、日本企業共通の経営課題ですね。ここを解決しなければ、女性も、外国人も、介護を抱える社員も職場を離れていく。イメージアップというレベルではなく、人手不足の時代、それをやらないと、中長期に事業拡大するための人材が確保できないよ、よい採用ができないよ、というべきだと思います。

駒崎 おっしゃる通りですね。実際、うちは残業が極端に少ない職場なんですが、それだけの理由で大企業から超優秀な社員がバンバン流れてきますからね。非常にありがたいです。給料が半分になっても残業のない職場を選ぶ。そういう価値観に完全にシフトしてきているなと感じています。

 残業は‟悪”だということに気づいていない経営者はまだまだ多い。長時間労働で成功してきた経験がデフォルトとなっているけれど、時代の流れは逆なんですよね。しかも、これから先、年を追うごとにその傾向は強くなっていく。

中原 高齢化が進むという流れもありますし、今の若い世代はみんな残業を嫌いますよね。優秀な人材を囲い込むためには、今すぐやらないといけない対策だと思います。僕も、これまでラボでたくさんのスタッフを採用していて感じるのは、子育てを理由にキャリアを諦めた優秀な方って多いですよね

駒崎 多いです、本当に。

働きたい女性がいるのに、一方では人が足りないと言っている社会問題

中原 なのになぜ彼女たちが復帰できないかというと、意外なほど細かいディテールが理由だったりするんですよね。「毎日17時までだと難しいんですけど、15時半までなら働けるんです」とか。画一的な働き方のルールだけが原因で、優秀な人たちを排除しているなんて、すごい社会的損失ですよね。経営にとって、人事制度が足かせになってはならないのだと思います。

駒崎 労働力不足だってこれだけ騒ぎながら、すでに存在している労働力を積極的に排除しているなんて、本末転倒ですよね。経営課題であると同時に、社会課題であると思います。

中原 政府がどれだけ本気で考えているのか分からないけれど、これから外国人が数十万人入ってくるといったって、僕からすると「たったそれだけしか埋まらないのか」という感想です。だって今日本に足りない労働力って500〜600万人でしょ。焼け石に水レベルですよね。一番大きい層って誰よ? 目の前にいるじゃん(笑)と言いたい。

駒崎 日本語のコミュニケーションにも問題ない人材がこんなにいるのにと。