副業解禁で協業関係が生まれる可能性も

駒崎 それが実現すると、どうなるんですかね?

青野 元気で働きたい人は80代まで活躍できるでしょうし、年齢や勤務年数ではなく、個性と能力いかんで若いうちから給与を上げられる

駒崎 より個人が自立的にキャリア開発していく社会になりそうですね。

青野 そう思います。僕が理想とする社会は、「一人ひとりがそれぞれに個性を発揮していい」という世の中なので、年齢や性別で規定されない働き方はぜひ実現したいですね。

駒崎 共感します。新卒一括採用もいいかげんやめたほうがいいですよね。

青野 学ぶ時期、就職する時期は全員違っていいと思います。サイボウズでは、新卒で入ってくる社員の給料もそれぞれ違うんです。たとえば、学生時代から活躍しているプログラマーは即戦力ですから、きちんと相応の報酬で働いてもらいたいと思うので。あと、「副業禁止」についても訴えようと張り切っていたんですが(笑)、早めに厚労省が動き出しましたね。

駒崎 はい。就業規則ガイドラインから副業禁止を外しましたので、日本の企業の原則は「副業OK」になっていきます。

青野 2年くらい前に厚労省に通っては「副業禁止を禁止しろ」と言い続けた甲斐が少しはあったなと思います。

駒崎 既にサイボウズの人事の方が副業でフローレンスで働いていたりしますし。僕たちからすると「そんなの普通でしょ?」と思うけれど、従来の価値観では「一人は一社に添い遂げる」みたいな発想がまかり通っていましたからね。うちは競合するライバル会社は一応ダメにしていますが。

青野 サイボウズの場合は、同業者でもOKです。「競争」という捉え方がもう古くなってきている気さえしていて。要は一緒に楽しい社会をつくれればいいわけじゃないですか。大事なのは「隠さない」ということで、社員にも「副業したい会社が、微妙にサイボウズと“当たる”かもと思ったら先に言って」と伝えています。上層部が話をつけておけばいいだけなので。その結果、いい感じで協業関係になれる可能性もあります。