世論を巻き込んで制度を変えていきたい

青野 あと、僕の行動がメディアに取り上げられたときに感じたのですが、取材にみえる記者の8割以上は女性なんですよね。テレビや新聞といったメジャーなメディアの中核で活躍している女性が増えてきていて、「夫婦別姓の問題を取り上げたいんです」と上司を説得して、記事にしているという構造が見えてきました。活躍している女性たちが、世の中を動かしているんだなという実感があります

 僕はみこしに乗せられて、グワーッと持ち上げられている気分ですよ。彼女たちはきっと、2015年の判決を残念に感じていたのだと思います。そのときの反動が今の注目につながっているのではないでしょうか。

 政治を動かすアプローチとしては、政治家を世論に巻き込む方法もありますよね。賛成・反対の意見が出やすい状況を作っておいて、目立つ意見を言う政治家が出てきたら問題が顕在化します。そこで「これはないよね」という意見が集まると、政治家も「あれは言っちゃいけない」と学ぶでしょう。

駒崎 なるほど、なるほど。裁判を戦いながらも、世論を盛り上げていくということですね。つい先日には、アメリカで夫婦別姓を選んで法律婚をした日本人夫婦が婚姻関係の確認などを求めて国を相手取り提訴しました。青野さんが放った矢の後に、二の矢、三の矢が放たれていいですね。

青野 これだけグローバル化が加速している時代に、日本だけおかしな慣習が続いているんですよ。世界から孤立しないためにも、時代に合わせて変えていくべきです。

定年制度がなくなれば企業文化はもっとよくなる

駒崎 そういえば、さっき「他にも国を訴えたいことがある」とおっしゃっていましたよね。例えばどんなことですか?

青野 一つは「定年」です。日本では、60歳や65歳で定年退職が決まっていますよね。これ、アメリカでは年齢差別の人権問題になって憲法違反なんだそうです。年齢だけで画一的に退職させるって、ある意味、強制解雇じゃないですか。終身雇用と言っておきながら、全然「終身」じゃない。再雇用といったって、給料半分にするとか、めちゃくちゃな制度だと思います。今の60代って全然若くて、活躍できますよね。それに、定年の制度があるから年功序列が今も根強く残っていて、若い人が長い間エスカレーターの下のほうから抜け出せない。この定年の制度を憲法違反としてバッサリ切ると、日本の企業文化はすごくよくなるんじゃないかと思っています