眞鍋かをりさんに、ママとして、妻として、仕事人としてのあれこれを語っていただくこの連載。今回は、発達障害の傾向アリと診断されたご自身の過去について、語っていただきます。

 先日、日経DUALに掲載された小島慶子さんのコラム「40過ぎてADHDと診断され自分知った」を読みました。普段のお姿からは垣間見えない、ご自身の中の深い部分を表現なさっていて、とても読み応えがありました。

 私もADHDに関しては「程度の差もあるしそれぞれパターンも違うけど、個性の延長だよね」という認識だったので、その後ネットニュースで「偏見」というキーワードとともに取り上げられていたのにはとても驚きました。小島さんの言うように、不吉なものでも、逆に特権意識を持つようなものでもないと私も思うし、「発達障害」や「ADHD」という言葉をセンセーショナルに扱う風潮には「うーん…」と感じざるを得ません。

 よく有名人の発達障害は「人並み外れた能力を発揮する」こととも表裏一体で語られますが、それを成功と結びつけるのも、ちょっと安易過ぎる気がします。もっとこう、フラットに受け止めて、普通のこととして話せるようになればいいのになあ。

 というのも、私も若いころに「傾向アリ」の診断を受けたことがあるからです。

仕事を始めて、問題が浮き彫りに

 ほんと、大げさに捉えないでくださいね。現在は日常生活に困ることもほぼなく、その傾向も落ち着いているので「私の場合はこうだったよ」ということをカジュアルに伝えたいなと思っています。

 まず、子どものころは多動性、衝動性の高い子でした。不注意も多かったので縫うようなけがも何度もしたし、交通事故に遭ったりもしました。当時はADHDなど全く知られていない時代ですから、母親はおなかに虫がいるのかと心配したそうです。

 でも、明らかに他の子と違うというほどではなく、学校では単なる「ちょっと忘れ物が多くて落ち着きのない生徒」。私自身も、先生や友達から「落ち着きがない」と指摘されても「そうなんですよー。テヘ」くらいにしか思っていませんでした。

 しかし、大学入学と同時に芸能界の仕事を始めてからは、問題が浮き彫りになりました。学生であるぶんには「落ち着きがない」「忘れっぽい」と言われるくらいで済んでいたのですが、社会人としての責任が求められる「仕事」という枠の中では、適応するのが難しい場面が多々あったんです。

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