土下座案件、いくつかありました

 まず、デビューしてすぐに出させていただいた、アイドルばかりが出る深夜ドラマの現場でのこと。じっとしていることができないため、カメラの前のバミリ(決められた立ち位置に貼られた目印のテープ)に立っていられないんです。カメリハをしていても気付いたら全然違うところにいて、カメラマンさんに「眞鍋さん!立ち位置見てるので!バミリにお願いします!」と何度も注意されていました。5歳くらいの子役がちゃんと立ち位置に立っているのに、19歳の私がウロウロ…思い出すたび、当時のスタッフさんに土下座して回りたくなります。

 あとは、テレビやスピーカーから好きな曲が流れてくると、大事な打ち合わせ中にもかかわらず熱唱してしまったとか。相手にしてみたら「人が真剣に仕事の話をしているのに急に歌うなんて、失礼な!」って感じだと思うのですが、当時の私は(好きな曲が流れてくる→歌いたい!→歌う)という思考しかできず、仕事中だからとか人が話してるからとか、そういうことを考えずに行動に移してしまうところがありました。

 テレビの収録中に、周りが見えなくなるほど自分の世界に入ってしまうこともよくありました。別のことを考えて白昼夢のような状態になり、スタジオにいるということを忘れてしまうのです。話を振られたときはとっさに合わせていましたが、収録後、スタッフさんから「また違う世界に行ってたでしょ」と言われることも日常茶飯事でした。あれで、なぜまた番組に呼んでもらえたのか謎ですが、これもやはり、今思えば土下座案件です…。

 当日に持ってくるべきはずの衣装を忘れたりとかも、ものすごい頻度でありました。何度怒られてもまた忘れてくるので、当時のマネジャーさんは「おまえ、ほんと何なの!?」とブチ切れてましたね…。泣くまで怒られて、次は絶対に気を付けようと思うんだけど、家に帰ったら忘れてしまい、また同じことをやるんです。ここまでくると「あれ?もしかして私がおかしいの?」と思い始めました。

 思えば仕事を始めてから数年は、怒られてばかりの毎日でした。すごくつらかったけど、自分を責め続けるということはありませんでした。怒られたこともすぐに忘れてしまうからです。そして、グラビア、バラエティ、ドラマ、大学のレポートなどで死ぬほど忙しかったこともあり、実はあの時期の記憶はあまりありません。

 それから大学もグラビアも卒業し、スケジュール的には落ち着いた日々を送っていたころ、本屋さんで何気なく手にとったのがADHDに関する一冊の本でした。当時はまだそんな言葉はほとんど知られていなかったので、読んですぐ「これこれこれー!」と衝撃を受けてしまいました。

もう10歳になる、愛犬の柴犬うめ。最近はわが家の3歳児にも安全な場所ならリードを持たせられるようになりました
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