トラが姿勢を保てないのはなぜ?


 レスリングで、「トラ! フニャフニャしない!」と怒られるのはいつものこと。幼稚園でも立ったまま靴の着脱ができずに、先生から「もうちょっと足腰を鍛えたほうがいいです」と言われ、参観日ではフラフラゆらゆらクネクネ落ち着きなくずっと揺れ続ける我が子の姿を見て、スリッパで頭をはたきたくなる衝動をこらえるのが精いっぱいだった。友達と一緒に走り回っても、まずこけて泣くのはトラ。手をつないで歩くと、ほとんどぶら下がっているのかという勢いで体重を預けてくる。

 これは何なの? 単なる落ち着きがないだけなのか、それとも体力の問題なのか、両方なのか分からないまま気に掛けていたら、周囲から色々な声が入ってきた。

 とあるお教室の先生からは、「姿勢が保てないのは、体幹ができてないからです。ぴしっとしているのが辛いと、どうしても体が揺れてしまうんです」と指摘され、先輩ママからは、「子どもは歩かせないとだめよ。小さい頃たくさん歩かないと体力つかないから。うちは車ばっかりだったけどそれをやめて、どこ行くのも電車にしたわよ」とアドバイスを受けた。トラの一つ上のお子さんを持つ美魔女の友人は、「朝6時に起きて子どもと毎日走ってるよ。健康のためにいいよ」とさらっと言う。だから、ママも常に美しくプロポーションもばっちりなのね。

 どのお言葉もグサッとくることこの上ない。

 うちは幼稚園の送り迎えも車、お出かけするのも車がほとんど。特に遠出の際には車に乗るとすぐ寝てくれるので、こっちも楽なのをいいことに、車中心の生活体系になってしまっていた。確かに、往復毎日歩いている幼稚園のお友達に比べると歩いていないし、車でのお出かけが多いと、そこでも歩く機会が失われている。同年代の子どもたちと比べて、トラ、歩くのが不足してる? ついつい楽だからと乗っている車があの“クネクネ王子”を作ってしまったのか? 

 これはいかん。かなりいかん。レスリングと水泳習ってれば体力がつくわけじゃない。やっぱり日常の歩きが重要なのか。こうなったら、もう徹底的に歩かせるぞ。車はやめてすべて電車かバス! と宣言してみたものの、言うはやすし、行うは難し。慢性肩こり、腰痛、足腰も弱ってきているアラフィフ夫婦には、つっツライ。車じゃないと、その後の仕事の都合とかもあるし、ごにょごにょ、と言い訳を見つけては、踏み切れないでいたのだが……。