日経DUALが創刊した2013年11月から続いてきた名物連載「トラの子、育ててます。」がこのたび終了となります。記念に、これまでの連載内容を振り返りつつ、金子達仁さんと八塩圭子さんにご夫婦で対談していただきました。常にお互い本音を“ぶつけ合い”ながら、どこか温かい愛情と信頼で結ばれているように感じるお二人のトークを5回にわたってお送りします。本文中にて、本連載のおすすめバックナンバーもご紹介します。ぜひ併せてお楽しみください。

(1) 八塩×金子対談 私たち夫婦“母2人・父2人体制” ←今回はココ
(2) 本音をぶつける「交換日記」で夫婦円満のススメ
(3) 夫婦は子育てのチーム ケンカしてる暇なんてない
(4) 出張前、妻を思い、牛筋大根を大量に煮ていく父親
(5) 一流のスポーツ選手は、圧倒的に父親の関与率が高い

僕の“父性”を開眼させた言葉!「母親が家事・育児をしても褒められない」

日経DUAL編集部(以下、――) 連載記事を再度読み返してみると、八塩×金子家の歴史を感じます。今は5歳に成長した虎ちゃんも、連載スタート時はまだ赤ちゃん。金子さんも八塩さんもそれぞれお父様、お母様として成長されてきたプロセスが確実に文章に残っていますね。

金子さん(以下、金子) 僕は正直、この連載をやることで、めちゃくちゃ成長させてもらえたと思っています。嫁の書いたものを読んで、愕然とすることが結構あったんで。例えば、「私は(家事・育児をどんなにやっても)褒めてもらっていない」とか、あんなのは完全に目からウロコでした。

金子さんが目からウロコが落ちた八塩さんのアトコメはこの回で……

―― それまでは八塩さんを褒めているつもりだったんですか?

金子 いえいえ、「やってあげている」という思いが僕のほうにあった、と。「(母でも父でも)どちらもやるのが当たり前」という意識が僕にはなかったですよね。「俺は男の割にはだいぶやってあげてる」というのが初期のころにはものすごくあったのが、この連載をやっているうちに、ものすごく修正されてきましたよね。嫁が、僕が書いたものを読んで「カチン」ときた、というところがあったと思うんですよ。

―― 八塩さんの「思い」を文章で読むことが大事だったんですね。

八塩さん(以下、八塩) そうそう、覚えていますね。連載10本目にして、「こんなに家事や子育てしている僕は、もっと褒めてもらってもいいんじゃないか」と書かれて。

金子 あの嫁からのアトコメで、まず「ガーン」ときましたよね。あの後、「そっか、俺もやるの当たり前だ」って考えるようになった。

―― そこが素直ですよね。そう言われても反発する人っていると思うんです。

金子 僕の場合は、反発する気持ちは全くありませんでした。「そら、そうだわ」って本当に衝撃だった。正直、あのひと言を読めただけで、この連載を引き受けた価値はあったな、と思いました。

八塩 良かったね(冷)。でも、こんな当然のこと、当然分かってるって思ってたんで。

金子 そこが完全に溝でしたよね。

八塩 その言葉に衝撃を受けたって……、それが衝撃だわ、みたいな(苦笑)。